2019年4月23日(火)

プレスリリース

東北大、脳内の色情報計算に関する新しいモデルを提案

2018/3/20 15:45
保存
共有
印刷
その他

発表日:2018年3月20日

脳内の色情報計算に関する新しいモデルを提案

-色の見え方をシミュレーションする計算モデル-

【発表のポイント】

・色の見え方を計算シミュレーションする新しいモデル式を考案。

・従来の計算モデルにおいて、照明光下で(1)白色に見える光(白色点)の変化と(2)照明光の強さの変化のシミュレーションの2点について、今回提案するモデルでは、この2点を簡便な方法で問題を解決。

・人によって色の見え方が異なることが評判になった「ドレス(#theDress)」画像の、個人の見え方をシミュレーションする事に成功。

・どの色があなたの「ドレス(#theDress)」の見え方に近い?(図1)

【概要】

照明光の色が変わると、色の見え方が少し変わります。この変化をシミュレーションする計算モデルは、国際照明委員会の計算モデル(CIE CAM02)をはじめ、複数が提案されています。また、「白/金」または「青/黒」に色の見え方が個人によって異なることで評判になった「ドレス」画像(#theDress)は、照明光の色と強さの仮定が個人毎に異なる事によって生じたことが研究により指摘されています。

東北大学電気通信研究所の栗木一郎准教授は、従来の計算モデルでは(1)白色に見える光(白色点)の変化に関する式が複雑である点と(2)照明光の強度低下を模擬すると色の鮮やかさが失われる点の問題について、より簡便な方法での解決を提案しました。

加えて、「ドレス(#theDress)」で指摘された、「白/金」「青/黒」の見え方も人によって若干異なることを、今回提案した計算モデルを用い、個人間における「ドレス」画像の見え方の多様性を画像として模擬することに成功しました。

【詳細な説明】

普段、我々は目を開ければ自然に色が見えますが、その仕組みは完全には解っていません。物体の表面で反射された照明光が目に入ることにより、物体を見ることができます。従って、照明光の色(スペクトル)が変化すると同じ物体が反射する光の色は変化しますが、人間の視覚はこれを補正し、安定した色を感じることができます(色恒常性)。しかし、色恒常性は不完全なため、実際には色の見え方が少し変化します。例えば、白熱電球やロウソクの灯火の下で見る白い紙は薄く黄色みを帯び、太陽光の下での見え方とは異なります。こうした人間の色の見え方を正しく理解・模擬する必要がある場面として、例えばロボットが情景を認識する場合や、視覚障害を補助する機器が正確な見え方を再現する状況などが考えられます。

色の見え方を模擬する計算モデル(カラーアピアランスモデル、以下CAM)は多数提案されていますが、いくつかの問題点が指摘されています。例えば、ある照明の下での色の見え方の評価の基準となる重要な光である「無彩色(色みを感じない光)」について、その推定式が複雑なため、あまり利用されていません。

我々の研究グループは以前、無彩色点が簡単な式で近似できることを発見し、それを応用して新しいCAMを提案しました。この方法では、画像の一部から照明光の色と無彩色点を推定し、無彩色点を白色に揃えたあと、明度を調整して、色の見え方を模擬します。

この方法を、色の見え方に大きな個人差があることで知られる「ドレス」(#theDress)の画像に適用する試みを行いました。いわゆる「白/金」「青/黒」の見え方は、ドレス本体が無彩色(白)あるいはレースが無彩色(黒)に見える場合に相当します。つまり、ドレス本体が白く見える場合、画像上のドレス本体の画素の色(青)が照明光の色だと解釈していることに相当します。この考えに基づき、照明光の色と明るさに関するパラメータを「白/金」「青/黒」の間で様々に変え、我々のCAMに入力しました(図1)。観察者15名が報告した色の見え方と計算結果(図1)を比較した結果、個人毎の色の見え方を模擬することができました(図2)。また、「ドレス」画像に関する研究の多くは照明光の色と明るさの推定が連動すると考え、色の見え方は図1のA-1(白/金)とG-7(青/黒)を結ぶ対角線上の場合だけが想定されていました。しかし、実際は対角線以外の見え方も多く(図2)、照明光の色と明るさの推定が独立であることも示されました。

この研究成果は、2018年3月17日に、知覚科学分野における国際的なオンラインジャーナル(学術誌)「i-Perception」において、色の見え方に関する特集号(Special issue on"Seeing Colours")に採録されました。

【論文】

I. Kuriki"A novel method of color-appearance simulation using achromatic point locus with lightness dependence"、 i-Perception (in press)

※図1・図2は添付の関連資料を参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

図1・図2

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0474893_01.pdf

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ速報トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報