2018年6月18日(月)

プレスリリース

東大と極地研、北極海波浪観測で波高の長期変化を検証するためのデータ取得に成功-海氷減少で最大波高が上昇

2018/3/14 19:05
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発表日:2018年3月14日

海氷減少で最大波高が上昇

~北極航路上の安全航行に備える~

 

1.発表者:

 早稲田卓爾(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻 教授)

 猪上 淳(国立極地研究所 国際北極環境研究センター 准教授)

2.発表のポイント:

 ◆我が国初の北極海波浪観測により、波高の長期変化を検証するためのデータの取得に成功した。

 ◆夏季北極海における海氷面積は減少し、開放水面では強風が吹く確率が増大するため、船舶が遭遇しうる最大波高と最大風速は長期的に上昇していることを明らかにした。

 ◆北極航路の利用に伴う船舶の安全性に資する重要な知見を得ることができた。

3.発表概要:

 東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻早稲田卓爾教授のグループは、国立極地研究所の猪上淳准教授らとの共同研究により、北極海における我が国初の波浪観測を2016年9月から11月に行った。海洋研究開発機構の海洋地球研究船「みらい」にて、漂流型波浪ブイ(写真1)をボーフォート海に2基展開し、2か月間の観測を行った結果、北極低気圧通過時に、5m近い有義波高(注1)を観測した。その波浪観測データを用い、ヨーロッパ中期予報センターの推定による過去38年間の波浪場の検証を行った。観測データが限られる北極海において、妥当な推定がなされていることを確認のうえ、8月から10月にかけて氷の無い海面において発生しうる最大有義波高が、長期的にどのように変化したかを分析した。

 その結果、北極航路(北東航路)として利用されているラプテフ海、東シベリア海、チュクチ海、ボーフォート海をつなぐ開放水面における8月、9月、10月の有義波高最大値の期待値(注2)は、過去38年間にわたり上昇傾向にあることが確認され、特に10月の有義波高最大値の期待値は、2.3mから3.1mへと増大していた。この上昇は、同じ海域における最大風速の期待値が、12.0m/sから14.2m/sに上昇していたことと関連があることを明らかにした。

 北極海における低気圧の強度はこの38年間で大きくは変わっていないことから、これまで海氷の上で吹いていた強い風が、海氷の融解により現れた海面において吹き、高い波を起こすようになったからだと考えられる。今後、夏季北極海の海氷のさらなる減少に伴い、船舶の航行の機会が増えると想定されるが、同時に氷の無い海面での波高と風速がより一層高くなることが想定されるため、波浪の推定精度をさらに向上させることが望まれる。そのためには、今回行ったような現場での波浪観測の強化が期待されている。2018年の結氷期(11月)に同様の観測を行う予定である。

 本研究は北極域研究推進プロジェクト(ArCS)の一環として実施したもので、その成果は2018年3月14日付けで、英国科学誌Scientific Reportsにオンライン掲載される予定である。

 (備考)北極域研究推進プロジェクト(ArCS) https://www.arcs-pro.jp/

  本研究はArCS国際共同研究推進テーマ1「気象・海氷・波浪予測研究と北極航路支援情報の統合」https://www.arcs-pro.jp/project/collaborated/01.htmlの中で実施された。

 ※以下は添付リリースを参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0474021_01.pdf

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