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東大など、膜たんぱく質が脂質を輸送する過程を1分子単位で超高感度検出に成功

発表日:2018年3月6日

膜たんぱく質が脂質を輸送する過程を1分子単位で超高感度検出

~マイクロチップ技術が実現する「膜たんぱく質機能解析」の新展開~

■ポイント

・膜たんぱく質による脂質の輸送はさまざまな生理機能に関与しており、その活性を計測する方法の高感度化と定量化が求められていたが、技術的な障壁があった。

・新たなマイクロチップ技術の開発により、計測感度が従来法の約100倍に向上した。

・創薬候補および薬剤標的を効率的に探索する基盤技術とした応用研究が期待できる。

JST戦略的創造研究推進事業において、東京大学 大学院工学系研究科の渡邉 力也 講師、大阪大学 免疫学フロンティア研究センターの長田 重一 栄誉教授の研究グループは、膜たんぱく質による脂質輸送の計測感度を従来のリポソーム法(注1)と比べて約100倍に向上させる超高感度計測技術を開発し、脂質の輸送過程を1分子単位で定量計測することに成功しました。

膜たんぱく質は細胞膜上にあり、情報伝達やエネルギー合成などの重要な役割を担っているたんぱく質です。膜たんぱく質は医薬品の標的として知られており、中でも物質を輸送する膜たんぱく質は、近年特に注目されている薬剤標的です。従来、物質を輸送する膜たんぱく質を創薬の標的とするため、イオンなどの親水性分子の輸送に関して、高感度に計測する手法が多数開発されてきました。しかし、細胞膜を構成するリン脂質分子そのものの輸送を計測するには技術的な障壁があり、これまで計測の高感度化と定量化を実現することは極めて困難でした。

本研究グループは検出感度や定量性の向上のため、(1)リン脂質分子の輸送を検出するための微小な人工生体膜(注2)を高度に集積化したマイクロチップ、(2)生体膜上のリン脂質組成を非対称化する光操作技術、(3)これらを組み合わせた脂質輸送の超高感度計測技術を確立しました。現在までに、哺乳類由来の脂質輸送たんぱく質であるTMEM16F(注3)の働きを1分子単位で計測できるほどの高感度化を実現することに世界で初めて成功し、従来のリポソーム法の約100倍の超高感度でリン脂質分子の輸送を計測することを可能にしました。

今回開発されたマイクロチップ技術は、リン脂質分子を輸送する膜たんぱく質を標的とした創薬候補を効率的に探索する上で最適な基盤技術になることが期待されます。

なお、本研究の一部は、東京大学の野地 博行 教授、大阪大学の櫻木 嵩晴 大学院生と共同で行ったものです。

本研究成果は、2018年3月5日の週(米国東部時間)に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」のオンライン版で公開されます。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0473368_01.pdf

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