2018年2月20日(火)

プレスリリース

理研など、1細胞から多種多様なRNAのふるまいを計測

2018/2/14 17:35
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発表日:2018年2月14日

1細胞から多種多様なRNAのふるまいを計測

-1細胞完全長トータルRNAシーケンス法の開発に成功-

 

■要旨

 理化学研究所(理研)情報基盤センター バイオインフォマティクス研究開発ユニットの林哲太郎センター研究員、尾崎遼基礎科学特別研究員、二階堂愛ユニットリーダーらの研究チーム(※)は、これまで検出が難しかった多様なRNA[1]の発現量と完全長を1細胞で計測できる「1細胞完全長トータルRNAシーケンス法『RamDA-seq』[2]」を開発しました。

 細胞の多様性は、ゲノム[1]にコードされた数万の遺伝子[1]領域から転写されるRNAの種類や量によって決まります。そのため、一つ一つの細胞の中に存在するRNAの種類と量が分かれば、どの遺伝子がどのくらい働いているかが分かり、細胞や臓器の状態・機能をより深く理解できます。1細胞に含まれるRNAの種類と量を網羅的に計測する技術は、「1細胞RNAシーケンス法(1細胞RNA-seq[3])」と呼ばれます。最近、非ポリA型RNA[4]が細胞分化や疾患に関与することが明らかになり、大きな注目を集めています。しかし、既存の1細胞RNA-seqでは非ポリA型RNAが検出できないため、非ポリA型RNAが細胞の中で機能していたとしても見逃してしまうという問題がありました。加えて、従来法にはRNAの全長が計測できずに途中で欠損する問題もありました。そのため、ゲノムDNAから転写された全てのRNAについて、ポリA型・非ポリA型を問わず、全長を偏りなく計測するために、新しい技術を開発する必要がありました。

 今回、研究チームは、林センター研究員が新たに開発した核酸増幅法RT-RamDA法[5]とランダムプライミング法[6]を組み合わせ、「1細胞完全長トータルRNAシーケンス法『RamDA-seq』」を開発しました。従来法との性能比較の結果、RamDA-seqは非ポリA型RNAを含む約2倍の遺伝子種を精度よく検出でき、どんなに長いRNAでもほぼ全長の配列を計測できることを確認しました。また、マウス胚性幹細胞(ES細胞)[7]を用いた検証の結果、従来法では計測できなかったヒストンmRNA、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)[8]のNeat1、エンハンサーRNA[9]といった非ポリA型RNAの細胞間での変動を計測できました。さらに、30万塩基を超える非常に長い新生RNA[8]を捉えられました。

 本成果は今後、細胞分化や臓器・器官発生などの基礎研究から、再生医療における移植細胞の安全性評価、血中循環腫瘍細胞など希少細胞集団の診断マーカーの開発まで、あらゆるライフサイエンスの研究分野の発展に貢献すると期待できます。

 本研究は、英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』(2月12日付け)に掲載されました。

 本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(PDIS)、科学技術振興機構(JST)およびAMED 再生医療実現拠点ネットワークプログラム、文部科学省科学研究費、日本学術振興会(JSPS)科学研究費の支援を受けて行われました。また、本研究の一部は、JSTのCREST「臓器・組織内未知細胞の命運・機能の1細胞オミクス同時計測」の支援を受けました。

※研究チーム

 ・理化学研究所 情報基盤センター バイオインフォマティクス研究開発ユニット

 ・センター研究員 林 哲太郎(はやし てつたろう)

 ・基礎科学特別研究員 尾崎 遼(おざき はるか)

 ・上級センター研究員 笹川 洋平(ささがわ ようへい)

 ・テクニカルスタッフI 梅田 茉奈(うめだ まな)

 ・センター研究員(研究当時)團野 宏樹(だんの ひろき)

 ・ユニットリーダー 二階堂 愛(にかいどう いとし)(多細胞システム形成研究センター 一細胞オミックス研究ユニット ユニットリーダー)

 *以下は添付リリースを参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0471479_01.pdf

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