2018年9月26日(水)

プレスリリース

東京都市大と理研など、軽量化を可能にする鋼材開発に向けた新たな分析手法を確立

2018/2/5 13:55
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発表日:2018年2月5日

軽量化を可能にする鋼材開発に向けた新たな分析手法の確立

-ものづくり現場における小型中性子源の貢献-

 

■要旨

 理化学研究所(理研)光量子工学研究領域中性子ビーム技術開発チームの池田義雅特別研究員、大竹淑恵チームリーダー、日本原子力研究開発機構物質科学研究センターの鈴木裕士グループリーダー、東京都市大学工学部の熊谷正芳講師らの共同研究グループ(※)は、「理研小型加速器中性子源システムRANS(ランズ)[1]」を用いて、鉄鋼材料軽量化の鍵となるオーステナイト[2]相分率の測定に成功しました。

 近年、地球温暖化対策として二酸化炭素(CO2)排出量の削減が求められており、自動車などの輸送機器では、軽量化による燃費向上が急務です。自動車の軽量化には、薄くかつ高強度の高張力鋼が適しています。近年多く活用されつつある高性能な高張力鋼には、オーステナイトを活用して、高い延性[3]と高強度を同時に実現した複相鋼があります。この複相鋼は、加工とともにオーステナイトがより硬い結晶相であるマルテンサイト[4]に変態するため、高延性かつ高強度となります。このようにオーステナイトは積極的に活用される一方で、焼き入れ[5]が不完全なことにより生じた相「残留オーステナイト」になるという側面があり、硬さの低下や、外力や経年による寸法変化などの原因にもなります。したがって、鋼材の品質・性能を保つには、オーステナイトの相分率やその変化を正しく測定・制御することが重要です。相分率を鉄鋼材料のバルク[6]に対して測定するには、鋼材に対して透過性の高い中性子を用いる中性子回折法[7]が有効です。しかし、その中性子源は研究用原子炉などの大型実験施設に限られ、企業の研究室や工場などでの利用が期待される小型中性子源では、ビーム強度が低くこれまで測定されてきませんでした。

 今回、共同研究グループは、オーステナイトを含む2相からなる複相鋼をサンプルとして、RANSで中性子回折測定を行いました。回折計の構築では、遮蔽を効率的に配置してバックグラウンドノイズを低減することで、2相それぞれの回折ピークを識別できるようにしました。その結果、複相鋼のオーステナイト相分率を1%以下の精度で測定することに成功しました。これは大型実験施設での測定結果と一致しており、小型中性子源の有用性が示されました。また、開発した回折計は小型装置の利点を生かすため、小型化することで各装置やサンプルへのアクセス性も確保されています。

 本技術は今後、材料の基礎研究、新材料開発及び品質検査のために行われる研究室レベルでの相分率測定に利用されると期待できます。

 本研究成果は、日本鉄鋼協会『鉄と鋼』(3月1日号)に掲載されるのに先立ち、オンライン早期公開版(2月5日付け)に掲載されます。

 本研究の一部は、日本鉄鋼協会「小型中性子源による鉄鋼組織解析法」研究会I、文部科学省「光・量子融合連携研究開発プログラム」の支援を受けて実施しました。

 ※共同研究グループ

 ・理化学研究所 光量子工学研究領域 光量子技術基盤開発グループ

  中性子ビーム技術開発チーム

  チームリーダー 大竹 淑恵(おおたけ よしえ)

  特別研究員 池田 義雅(いけだ よしまさ)

  上級研究員 高村 正人(たかむら まさと)

  特別研究員 箱山 智之(はこやま ともゆき)

 ・日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター

  グループリーダー 鈴木 裕士(すずき ひろし)

  (理化学研究所 光量子工学研究領域 光量子技術基盤開発グループ 中性子ビーム技術開発チーム 客員研究員)

 ・東京都市大学 工学部 機械システム工学科

  講師 熊谷 正芳(くまがい まさよし)

  (理化学研究所 光量子工学研究領域 光量子技術基盤開発グループ 中性子ビーム技術開発チーム 客員研究員)

 *以下は添付リリースを参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0470493_01.pdf

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