2019年2月20日(水)

プレスリリース

東大など、発達期のシナプス刈り込みを調節する分子を発見

2018/2/2 2:00
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発表日:2018年2月2日

発達期のシナプス刈り込みを調節する分子を発見

~前頭側頭型認知症の関連遺伝子グラニュリンの新たな機能の解明~

1.発表者:

狩野 方伸(東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 神経生理学分野 教授/国際高等研究所 ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN) 副拠点長)

上阪 直史(東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 神経生理学分野 助教)

2.発表のポイント:

◆生後発達期のマウスの小脳において、認知症関連遺伝子グラニュリンが不要な神経結合(シナプス)の除去を遅らせるとともに、必要なシナプスを強めることが明らかになりました。グラニュリンが老年期の脳だけでなく、発達期の脳においても重要な働きをしている点に、この発見の新規性があります。

◆グラニュリンのタンパク質であるプログラニュリンはシナプス後部の神経細胞であるプルキンエ細胞から放出され、シナプス前部の登上線維に存在するSort1受容体に作用して、シナプス刈り込みを調節することが明らかになりました。

◆プログラニュリンが発達期においてシナプスの要不要を選別するという、この分子の新たな機能の解明により、生後発達期の機能的神経回路形成のメカニズム解明に貢献することが期待されます。

3.発表概要:

統合失調症や自閉スペクトラム症の病態の根底には、神経回路の発達異常があると考えられています。生後間もない脳においてシナプスはいったん過剰に形成された後,環境や経験に依存して必要なシナプスは強められて残り,不要なシナプスは除去されます。この現象は「シナプス刈り込み」と呼ばれており,生後発達期の脳内で普遍的に起こる重要な現象であり,成熟した機能的神経回路を作るために不可欠な過程であると考えられています。しかし、シナプス刈り込みがどのような仕組みによって起こるかは完全には理解されておらず、とくに必要なシナプスが強められる仕組みはほとんど不明でした。

今回、東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻神経生理学分野の上阪直史助教と狩野方伸教授らの研究グループは、発達期の小脳において、前頭側頭型認知症(注1)の関連遺伝子グラニュリン(注2)がシナプス刈り込みを調節することを発見しました。

研究グループは発達期のマウス小脳の登上線維(注3)とプルキンエ細胞(注4)との間のシナプスにみられるシナプス刈り込みに注目しました。シナプス後部のプルキンエ細胞から放出されたプログラニュリン分子が、シナプス前部の登上線維に存在するSort1受容体に、逆行性シグナル(注5)として働き、特定の登上線維シナプスを強くするとともに、不要なシナプスの除去を遅らせることを明らかにしました。グラニュリン遺伝子の変異は認知症の一種であるヒト前頭側頭型認知症で見られ、また血中内でのプログラニュリン濃度の減少がヒト自閉スペクトラム症で見られています。本研究の成果は生後発達期の機能的神経回路形成のメカニズム解明に貢献するとともに、前頭側頭型認知症や自閉スペクトラム症の病態解明につながることが期待されます。

本研究成果は、アメリカ東部標準時間2月1日午前12時にNeuron誌のウェブサイトに掲載予定(http://www.cell.com/neuron/home)です。

本研究は、科学研究費補助金の助成を受けて行われました。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」および「脳科学研究戦略推進プログラム」の一環として実施されました。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0469740_01.pdf

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