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大阪府立大と東大、分子を使った乱れの設計により量子スピン液体を実現

発表日:2017年11月23日

分子を使った乱れの設計により量子スピン液体を実現

~新たな量子現象を取り込んだ新材料の開発を可能に~

大阪府立大学(学長:辻 洋)の大学院理学系研究科 山口博則准教授、細越裕子教授、および東京大学物性研究所の河野洋平研究員、橘高俊一郎助教、榊原俊郎教授らの研究グループは、分子の設計性を利用した新しいタイプの錯体化合物を合成し、磁気ネットワーク(注1)に乱れを導入することで量子スピン液体(注2)状態を実現しました。

■本取り組みのポイント■

1.新たに開発した錯体分子において磁気ネットワークに乱れを導入することで、量子スピン液体として振る舞うことを実証。

2.これまでに量子スピン液体として報告されていた物質の本質が、乱れによってランダムに形成されるスピンのペア(ランダムシングレット)である可能性を示唆。

3.乱れを取り込んだ量子磁性体(注3)のデザインが可能であることが実証され、量子物性を取り込んだ磁性材料の開発に新たな道を拓いた。

※参考画像は添付の関連資料を参照

量子状態の解明は、スピンに備わる量子性の新たな一面や物質中での量子エンタングルメント(注4)の効果を明らかにし、物性科学全般において基礎学術的にも大きな意義を持ちます。さらに、本研究が目指す分子の自由度を活用した量子磁性体のデザインは、量子物性の制御を可能にし、新たな量子現象を取り込んだ新材料の開発にもつながります。

なお、本研究は2017年11月23日19時(日本時間)に雑誌「Scientific Reports」に掲載される予定です。

【概要】

磁性体においてその磁性を担っている電子スピンが絶対零度においても凍結しない、量子スピン液体の実現は、近年の物性科学における到達目標の一つとされています。これまでにその候補物質として報告されてきたものでは、スピンが時間的にも空間的にも揺らいで量子スピン液体を形成していると考えられてきました。しかし、最近の理論的研究によって、物質中での偶発的な乱れから生じる、ランダムシングレットと呼ばれる特異な量子状態が、量子スピン液体の本質である可能性が指摘されていました。

そこで本研究グループは、分子の設計性を活用した物質デザインにより、磁性体に意図的に乱れを導入することで、ランダムシングレットの実証を試みました。

具体的には、有機ラジカルを金属原子に配位させた分子性の金属錯体を合成しました(図1参照)。金属原子に配位させることでラジカルの分子内回転自由度を消失させて、2種類の異性体を作り出しています。これによって結晶中では2種類の分子がランダムに配列することになり、分子の繋がりから成る磁気ネットワークの結合の強さにも乱れが出現します。低温での物性を調べた結果、磁化率、磁化曲線、比熱の全ての実験結果において、量子スピン液体の実現を示唆する振る舞いが観測されました。本研究成果は、これまでに量子スピン液体として報告されていた物質の本質が乱れによるランダムシングレット(図2参照)である可能性を示唆する重要な結果となりました。また、分子の自由度を利用することで乱れを取り込んだ量子磁性体のデザインが可能であることが実証され、量子物性を取り込んだ磁性材料の開発に新しい可能性をもたらしました。

※リリース詳細は添付の関連資料を参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

参考画像

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0464110_01.JPG

リリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0464110_02.pdf

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