東工大・東北大・東京都市大など、長寿命核分裂生成物を飛躍的に短寿命化する高速炉技術利用の核変換システムを提案
発表日:2017年11月10日
長寿命核分裂生成物を飛躍的に短寿命化する高速炉技術を利用した核変換システムを提案
-発電とともに将来世代の負担軽減と核不拡散に貢献-
【要点】
○早期展開可能な長寿命放射性廃棄物処理用の小型高速炉技術を利用した核変換システム提案
○寿命が長く遠い将来世代に負担となる核分裂生成物の大幅な短半減期化を実現可能
〇従来研究よりも広範な長寿命核分裂生成物を対象に高効率の核変換を実現可能
○原子力発電が生成する放射性物質を閉じ込めつつ減容し、発電にも貢献
【概要】
東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所の千葉敏教授と奥村森研究員、東北大学の若林利男名誉教授、東京都市大学の高木直行教授、日本原子力研究開発機構の舘義昭氏らのグループは、原子力発電所から発生する放射性廃棄物に含まれる長寿命の核分裂生成物(LLFP、用語1)を短寿命の核種に変換して無害化するシステムを提案した。
小型高速炉(用語2)の炉心周辺部分に、新規に提案する減速材(用語3)とともにLLFPを配置して中性子を吸収させ、これを炉心部で生成されるよりも早いペースで短寿命核種に変換する技術である。開発の進んだ小型高速炉技術を使用するため早期に展開でき、かつ軽水炉からの蓄積プルトニウム(用語4)を燃料として消費し、将来的には核軍縮に伴って発生する解体核兵器中のプルトニウム(用語5)の有効利用も可能になる。
本研究では、国内に蓄積した使用済核燃料(用語6)中のLLFP全量を元素組成のまま10基程度(今後の最適化により削減も可能)の小型高速炉で処理し、発電しつつLLFPを高速炉システム内に閉じ込めることで、放射性廃棄物を将来世代の負担とならないよう減量・短寿命化できるシステムの構築可能性を示した。これにより、次世代原子力システムとして実用化が期待される高速炉のポテンシャルに新たな可能性を示すことになり、社会的受容性の向上にも貢献するものである。
本研究は文部科学省原子力システム研究開発事業により東京工業大学が委託を受けた平成28年度「「もんじゅ」を活用したLLFP核変換システムの研究開発」および平成29年度「高速炉を活用したLLFP核変換システムの研究開発」の成果である。研究成果はNature社の専門誌「Scientific Reports誌」に10月24日にオンライン掲載された。
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