2017年11月24日(金)

プレスリリース

東大、癌血管の悪性化を止める酵素を発見

2017/11/10 23:00
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発表日:2017年11月10日

癌血管の悪性化を止める酵素の発見

 

1.発表者

 大森 啓介(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 博士課程4 年)

 中村 達朗(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 特任助教)

 村田 幸久(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 准教授)

2.発表のポイント

 ◆マウスの皮膚癌や肺癌、乳癌の血管内皮細胞において、他組織の血管内皮細胞では見られないリポカリン型プロスタグランジンD 合成酵素(L-PGDS)が、強く発現しており、この酵素から産生されるプロスタグランジンD2(PGD2)が、血管の透過性や新生を抑制し、癌への栄養や酸素の供給を制限する分子であることを発見した。また薬を用いてPGD2 の受容体を刺激することで、血管の透過性や新生を抑え、癌の増殖を抑えることに成功した。

 ◆癌の中の血管は正常組織の血管と違った形態や性状を持つと考えられてきたが、詳細は分かっていなかった。本発見は、癌血管のみに起こる分子発現や機能の変化を初めて明らかにしたものである。

 ◆増殖する癌に栄養や酸素を補給する血管は、新しい抗癌剤の標的として注目されている。

  本研究で見出した癌血管の機能変化やそれを止める分子の発見は、新しい癌治療法の開発につながることが期待される。

3.発表概要

 急速に増殖する癌は、周囲の組織から血管を引き寄せ、増殖に必要な酸素や栄養を獲得する。この癌の中に伸びてきた血管は、その多くが血管内皮細胞で構成され、漏れやすく、新生しやすい(伸びやすい)など、他の正常組織の血管とは違った性質をもっている。この癌血管と正常血管の違いを見つけ、正すことができれば、癌への酸素・栄養補給を断つことができる新しい抗癌治療法の開発につながるため、現在研究が進んでいる。

 東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久准教授と大森啓介大学院生らの研究グループは、マウスに移植した肺癌や皮膚癌の血管内皮細胞にプロスタグランジン(注1)合成酵素の一種であるL-PGDS が強く発現していることを発見した。このL-PGDS は正常な皮膚の血管にはほとんど発現していなかった。詳細な解析の結果、癌が産生する炎症性物質によってこの酵素は血管内皮に誘導され、そこから産生されるPGD2 は血管の透過性(注2)や新生(注3)を抑制して、癌組織への栄養や酸素の供給を制限するブレーキとしての働きをもつことが分かった。この発見は、癌の血管のみを標的とした、副作用の少ない新たな治療法の開発につながる可能性がある。

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

リリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0462753_01.pdf

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