2019年4月25日(木)

プレスリリース

阪大・金沢大・名大、細菌べん毛モーターがバイオセンサーとして働くしくみを解明

2017/11/2 12:20
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発表日:2017年11月2日

べん毛モーターがバイオセンサーとして働くしくみを解明

■研究成果のポイント

・細菌べん毛モーターを回す固定子複合体の動的構造変化を高速原子間力顕微鏡で解析することにより、固定子複合体が外環境のナトリウムイオンを感知してモーターに組み込まれるしくみを解明

・精製が困難であったため、固定子複合体がナトリウムイオンを感知できるしくみは不明であったが、固定子の一部がナトリウムイオンによって機能構造を形成することを発見

・生体内のナトリウムイオン濃度を正確に計測できるセンサープローブの開発などに期待

■概要

大阪大学大学院生命機能研究科の寺原直矢特任助教(常勤)、南野徹准教授、難波啓一特任教授(常勤)、金沢大学理工研究域バイオAFM先端研究センターの古寺哲幸准教授、安藤敏夫特任教授、名古屋大学大学院理学研究科の内橋貴之教授の共同研究グループは、細菌べん毛モーターのエネルギー変換装置である固定子複合体(※1)がナトリウムイオンを感知して活性化し、モーターに組み込まれるしくみを世界で初めて明らかにしました。

バクテリアはべん毛と呼ばれる回転分子モーターを使って最適な環境へ移動します。べん毛モーターは回転運動マシナリーとして働くだけではなく、環境変化を感知するバイオセンサーとしても機能します。そのため、べん毛モーターが環境変化を感知するとバクテリアの細胞分化が誘導されたり、バイオフィルムと呼ばれる細菌社会が形成されます。これまでに、べん毛モーターが回転するしくみについては詳細に解析されていますが、バイオセンサーとして働くしくみについては長い間謎でした。最近、べん毛モーターの固定子複合体が外環境変化を感知し、回転子リング複合体の周りに配置される固定子の数を自律的に制御することがわかってきました。しかしながら、膜タンパク質(※2)である固定子複合体はその取り扱いが大変困難であったため、詳細なしくみは不明でした。

今回、共同研究グループは、固定子複合体を単離精製することに成功し、高時間高空間分解能で生体分子の観察が可能な高速原子間力顕微鏡(※3)を用いて、世界で初めて固定子複合体1分子の振る舞いをリアルタイムで可視化することに成功しました。モーターを回転させるために必要なエネルギー源であるナトリウムイオンが結合すると固定子の一部が規則正しく折りたたまれ、その結果モーターに組み込まれることを明らかにしました。本研究成果は、高効率で回転するモーターの回転機構の解明への第一歩とともに、生体内のナトリウムイオン正確に測定できるバイオセンサープローブへの応用や、ナトリウムイオンによって生体分子の機能をON/OFF制御できるナノデバイスへの応用が期待されます。

本研究成果は、米国科学誌「Science Advances」に、11月2日(木)午前4時(日本時間)に公開されました。

*図1は添付の関連資料を参照

■研究の背景

大腸菌やサルモネラ属菌などの多くの細菌は、べん毛と呼ばれる細い長いらせん状の繊維を菌体から生やし、回転させることによって様々な環境を移動します(図1)。その根元には、人工のモーターに非常によく似た回転分子モーターが細胞膜の中に存在します。べん毛モーターは回転子と固定子から構成され、これらの相互作用によってモーターが回転します。モーターのエネルギー源は細胞の外から内に流れるイオン流で、固定子はこのエネルギーを回転力に変換します。その変換効率はほぼ100%で、大変高性能なナノマシンです。さらに、べん毛は環境変化を感知するバイオセンサーとしても働き、水の中を泳ぐモードから固体表面を移動するモードへと細胞を分化誘導したり、バイオフィルムと呼ばれる細菌社会の構築を誘導したりします。

これまでに、べん毛モーターの固定子がバイオセンサーとして働くことが示唆されています。固定子は大まかに分けて、イオンチャネルとして働く細胞膜ドメインと、細菌の細胞壁に相当するペプチドグリカン層に結合するペプチドグリカン結合ドメインから構成されます。固定子が外環境の変化を感知する際、ペプチドグリカン結合ドメインがその情報を得て、べん毛モーターの周りに配置される固定子の数が制御されます。しかし、そのしくみは全く謎でした。固定子を複合体の状態のまま精製するという大変困難な課題があったからです。

*研究の内容などリリース詳細は添付の関連資料を参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

図1

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0462274_01.JPG

研究の内容などリリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0462274_02.pdf

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