プレスリリース

東工大、風力発電の大量導入のもとでも電力の安定供給を実現するプラグイン型制御技術を開発

2017/10/10 15:55
共有
保存
印刷
その他

発表日:2017年10月10日

風力発電の大量導入のもとでも電力の安定供給を実現する

プラグイン型制御技術を開発

 

■ポイント

 ○風力発電が大量に導入されると電力の安定供給が難しくなるが、電力システム全体に関する知識や情報を必要としないで、安定供給の信頼度を向上する制御技術はこれまでなかった。

 ○今回開発した制御アルゴリズムは、風力発電機単体に関する知識や情報のみで設計および適用が可能なプラグイン型である。

 ○風力発電が大量導入された状況下での電力安定供給の実現に向けた新技術として期待される。

 JST戦略的創造研究推進事業において、東京工業大学の定本 知徳 特任助教、石崎 孝幸 助教および井村 順一 教授らは、風力発電が大量導入された電力システムにおいて、電力の安定供給を可能とする新たな制御技術を世界に先駆けて開発しました。

 風力発電の導入量が増えるにつれて電力の安定供給が難しくなることが知られています。そのため、風力発電が大量導入される将来を見据えて、電力の安定供給をより高い信頼性で実現する制御技術の開発が非常に重要となります。そのための制御アルゴリズムの研究開発が従来から盛んに行われていますが、これまでの手法では、信頼性の向上を理論的に保証するために、電力システムを構成する全ての機器や設備などについて、知識や情報を必要としていました。しかし、非常に複雑かつ大規模な電力システム全体の詳細な情報を得ることは難しく、こうした既存のアプローチは現実的ではありませんでした。

 本研究グループでは、電力システム全体の詳細な情報を必要とすることなく、風力発電機単体に関する知識や情報のみを用いて設計された制御アルゴリズムをそれ自身に適用するだけで、電力安定供給の信頼性を向上することが可能な、プラグイン型の制御技術を世界に先駆けて開発しました。さらに、実データに基づく詳細なシミュレーション実験を行い、有効性を実証しました。この技術は、電力自由化に伴ってより一層の複雑化が予想される将来の電力システムに対して、電力の安定供給を実現するための新たな技術として、その発展性が期待されます。

 本研究成果は、平成29年10月6日(日本時間)に米国電気電子学会誌「IEEE Transactions on Power Systems」のオンライン速報版で公開されました。

 本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)

 研究領域:「分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開」

       (研究総括:藤田 政之 東京工業大学 教授)

 研究課題名:「太陽光発電予測に基づく調和型電力系統制御のためのシステム理論構築」

 研究代表者:井村 順一(東京工業大学 教授)

 研究期間:平成27年4月~平成32年3月

 多角的な観点から進めています。本研究課題では、大量導入された太陽光発電のもとで、電力系統の安定的な運用を行うための次世代の電力系統制御技術の構築を目指しており、その国際連携による研究展開の一つとして風力発電が大量導入された電力システムの安定度向上にも取り組んでいます。

<研究の背景と経緯>

 米国や欧州を中心として電力システムへの風力発電の導入が盛んに進められており、わが国でも風力発電の導入量は今後も増加すると見込まれています。しかし、風力発電の導入量が増加するにつれて、電力システムの系統安定度注1)が低下することが知られています(図1)。系統安定度が低下すると、落雷などをきっかけとして停電などの重大な障害が引き起こされる可能性が高くなり、電力の安定供給の信頼性が低下してしまいます。したがって、系統安定度の向上に必要な風力発電機の制御技術の開発は、今後の風力発電の大量導入に向けて非常に重要です。

系統安定度を高めるための従来手法のひとつとして、火力発電機や風力発電機に通常備え付けられているPI制御注2)器などのパラメータ調整が知られています。ここでの制御器とは、発電機内部の電流や電力系統との接続点の電圧などを計測することにより、発電機内部の回転子電圧を適切な値に修正するための制御アルゴリズムやそれを搭載した機器を指します。しかし、既存のパラメータ調整指標は、これまでの電力システムの運用実績から経験的に作成されたものであり、風力発電が大量導入された将来の電力システムに対して系統安定度を向上することができる保証はありません。

 このようなパラメータ調整以外のアプローチとして、電力システム全体の数理的なモデル注3)が得られていることを前提として、従来の制御理論を適用し新たな制御アルゴリズムを構築することが考えられます。しかし、現実の電力システムは非常に複雑かつ大規模であるため、電力システム全体の数理モデルを構築すること自体が大きな問題となります。さらにこのアプローチは、新たな設備が増設されるなどの電力システムの部分的な変化に対しても、その詳細な情報を反映して制御アルゴリズムを再設計しなければいけません。したがって、電力自由化に伴ってより一層の複雑化が予想される将来の電力システムには適しているとは言えません。

 このような背景から、新たに導入する風力発電機単体に関する数理モデルに基づき制御アルゴリズムを設計および適用するだけで、信頼性の高い電力安定供給が電力システム全体で実現可能な、プラグイン型の制御技術の開発が望まれていました。これは、複数の独立した事業者が、既存の電力システムの系統安定度の低下を危惧することなく自身の発電機を自由に導入・取替・撤去するために不可欠な技術です。

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

リリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0459833_01.pdf

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ速報トップ

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 2:00
2:00
東北 2:00
2:00
関東 2:00
2:00
東京 2:00
2:00
信越 1:00
1:00
東海 2:00
2:00
北陸 2:00
1:30
関西 2:00
2:00
中国 2:00
2:00
四国 2:00
2:00
九州
沖縄
2:00
1:59

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報