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東京理科大など、有機物質中の電子が波動性を有した金属状態と粒子性を有した絶縁体状態の間でゆっくりと揺らぐ現象を発見

2017/8/12 3:00
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発表日:2017年8月12日

電子の粒子性と波動性の新たな狭間

~粒子性を持つ絶縁体状態と波動性を持つ金属状態の間を

ゆっくりと行き来する電子の発見~

 

■研究の要旨

 東京理科大学理学部第一部 伊藤哲明准教授、京都大学人間・環境学研究科 前川覚教授(当時)、理化学研究所 加藤礼三主任研究員、東京大学工学系研究科 鹿野田一司教授らをはじめとする研究グループは、有機物質中の電子が、波動性を有した金属状態と粒子性を有した絶縁体状態の間でゆっくりと揺らぐ現象を発見しました。本研究成果は米国科学誌 Science Advances 誌に8月11日付けで掲載されます。

【発表者】

 伊藤哲明 (東京理科大学 理学部第一部応用物理学科 准教授 / 東京大学大学院工学系研

 究科附属量子相エレクトロニクス研究センター 特任講師:研究当時)

 渡辺恵里 (京都大学大学院 人間・環境学研究科 大学院生:研究当時)

 前川覚 (京都大学大学院 人間・環境学研究科 教授:研究当時)

 田嶋陽子 (理化学研究所 協力技術員:研究当時)

 田嶋尚也 (東邦大学 理学部物理学科 教授 / 理化学研究所 専任研究員:研究当時)

 久保和也 (北海道大学 電子科学研究所 助教:研究当時 / 理化学研究所 協力研究員:研究当時)

 加藤礼三 (理化学研究所 主任研究員)

 鹿野田一司(東京大学大学院 工学系研究科 教授)

【研究の背景】

 ミクロな世界の存在である電子は、粒子と波動の両面の性質を兼ね備えます。又、これら電子は電荷を持っているため、物質の中で互いに反発し合います。反発力が大きいと、電子は自由に動けず、粒子としての性質を持つモット絶縁体と呼ばれる状態になります(図1)。一方で反発力が小さくなると、電子は波として自由に動くようになり、絶縁体から金属へと性質を劇的に変えることとなります(図2)。このように電子の粒子性と波動性が移り変わる領域をモット境界と呼び、この領域では高温超伝導や巨大磁気抵抗など産業応用上重要な現象が実験的に観測されてきています。従ってこのモット境界の性質を理解することは現代物理学上の大きな課題となっています。

 ※参考画像は添付の関連資料を参照

【研究成果の概要】

 従来、電子の粒子性と波動性が移り変わるモット境界は、水と水蒸気の移り変わりと同様に、十分低温では「相転移(注1)」という性質を持ち、不連続な変化があると考えられてきました。本研究グループは、結晶格子に乱れが導入された2次元モット絶縁体有機物質 EtMe3Sb[Pd(dmit)2]2(図3)という物質に圧力をかけモット境界にいたらせ、絶対温度2K(注2)という低温まで温度を変えながら、核磁気共鳴(注3)実験によりそのときの電子状態を観測しました。その結果、この物質のモット境界においては、従来の常識(図4)に反して、粒子性を持つモット絶縁体状態と波動性を持つ金属状態の間を電子がゆっくりと行き来している現象を発見しました。すなわち、圧力-温度相図上で、従来の相転移描像ではなく、新たな電子相(粒子性と波動性の間をゆっくり揺らぐ電子グリフィス相と呼ぶべき新奇相)が実現していることを見出したこととなります(図5)。このようなモット境界は今まで観測されたことはなく、基礎学理上・応用上重要な立ち位置を占めるモット境界描像の新たな理解を与えるものです。

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

参考画像

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0453648_02.JPG

リリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0453648_03.pdf

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