2019年4月20日(土)

プレスリリース

東大など、熱の波動性を用いた熱伝導制御に成功

2017/8/5 3:00
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発表日:2017年8月5日

熱の波動性を用いた熱伝導制御に成功

~フォノンエンジニアリングによる高度な熱伝導制御へ~

1.発表者:

野村 政宏(東京大学 生産技術研究所附属マイクロナノ学際研究センター 准教授 兼 東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構 准教授)

2.発表のポイント:

◆従来、熱伝導はフォノンと呼ばれる熱を運ぶ粒子の移動で説明されてきました。

◆フォノニック結晶と呼ばれる人工結晶構造の秩序を制御することで、熱本来の「波動性」を利用して熱伝導を制御できることを世界で初めて実証しました。

◆光の波動性を利用することで光学技術が飛躍的に発展したように、熱の波動性を積極利用したフォノンエンジニアリングによって高度な熱伝導制御技術の実現が期待されます。

3.発表概要:

東京大学 生産技術研究所の野村 政宏 准教授らは、周期的なナノ構造を用い、熱の波動性を利用して熱伝導を制御できることを初めて実証しました。

熱伝導は熱の運び手であるフォノン(注1)の移動で説明され、ほぼ全ての熱伝導現象は粒子的な描像で説明されてきました。しかし、熱の本来の姿は原子などの振動であり波動性を持っているため、可干渉性が保たれた周期的な構造中では干渉を起こし、熱伝導が変化する可能性が指摘されていました(図1)。しかし、従来の電気的な測定手法では、一度に測定できる数に限りがあり、系統的で誤差の小さい実験は不可能でした。

本研究では、光を使って非接触で熱伝導計測を高精度に行える高速測定システム(図2)を開発し、シリコン薄膜に周期的に円孔をあけた構造(フォノニック結晶(注2))と、その周期性をわざと乱した構造の熱伝導を高精度で比較しました。その結果、周期性を少し乱すだけで熱伝導が変化することを初めて見いだし、熱の波動性を利用して熱伝導を制御できることを実証しました。今回の実証実験は、低温下で行われましたが、今後、より微細な構造を用いることで室温においても効果が見込まれ、より高度な熱伝導制御技術の実現が期待できます。本成果は、2017年8月4日(米国東部時間)に米国科学誌「Science Advances」オンライン版に掲載されます。

4.発表内容:

<研究の背景と経緯>

固体中のほぼ全ての熱伝導現象は、粒子的な描像で説明できるため、熱本来の姿である原子や分子の振動で捉えたときに重要な、位相の概念が出てくることはありません。しかし、固体における熱の正体が原子や分子の振動であることは古くから知られており、周期的な構造中では熱伝導も変化するのではないか、と考えられていました。振動が伝搬しながら周期構造中で何度も散乱されて干渉し、伝搬しにくくなるために熱伝導の低減が期待されますが、その観測は容易ではありませんでした。フォノニック結晶構造を作製すると、材料に新たな界面ができて散乱が増えるため、波動的な効果がなくても熱伝導は低減されます。したがって、波動性に起因する干渉効果と波動性がなくても生じる散乱効果それぞれを切り分けて観測すること自体が困難となっていました。そこで、本研究では、孔加工によって新たにできる界面の表面積を同じにしつつ、系統的に周期性の乱れの度合いを変えた多数の構造を作製することで、干渉効果だけを抽出できるよう工夫しました。

※リリース詳細は添付の関連資料を参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

リリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0452733_01.pdf

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