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慶大とNCNP、超早産児に生じる認知機能障害に脳の神経細胞の移動障害が関与することを発表

2017/5/19 18:10
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発表日:2017年5月19日

超早産児に生じる認知機能障害に脳の神経細胞の移動障害が関与

-その予防・治療法の新規開発に期待-

 

 慶應義塾大学医学部解剖学教室の久保 健一郎専任講師、出口 貴美子講師(非常勤)、仲嶋 一範教授と、国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部の井上 健室長らは、妊娠週数 28 週未満の超早産で生まれた赤ちゃん(超早産児)に高い確率で生じる認知機能障害に、脳の神経細胞の移動障害が関与することを明らかにしました。

 脳のネットワークが作られる時には、タイミングよく作られた神経細胞が適切な位置に移動することが重要です。今回の研究では、超早産児が生まれる時に、まだ移動中の神経細胞が虚血によって障害され、そのことがその後の認知機能障害に関与することが分かりました。

 また、マウスを用いた研究で、虚血になっても発症を予防できる方法を見出しました。

 この研究成果は、2017 年 5 月 18 日(米国東部時間)に米国医学雑誌「JCI Insight」に掲載されました。

1.研究の背景と概要

 近年、日本だけでなく世界的に早産で生まれる赤ちゃんが増加していることが知られています。特に妊娠週数 28 週未満の超早産で生まれる赤ちゃん(超早産児)は、周産期医療の発達で生存率が上昇したこともあって増加しています(注 1)。

 超早産児は、特に問題なく発達することもある反面、約 2 割から半数近くに認知機能障害を伴い、後に自閉スペクトラム症や注意欠如多動症などの神経発達症(発達障害)を合併することがあります。その原因として、超早産児が経験する脳虚血などが想定されていましたが、それによって脳にどのような障害が生じるのかは、これまでよく分かっていませんでした(参考図1)。

 ※参考図1は添付の関連資料を参照

2.研究の内容と成果

 まず、ヒト胎児の脳の組織切片を用いた解析を行い、妊娠週数ごとの脳の状態を調べました。その結果、超早産児が生まれる時期に当たる妊娠週数23 週以降においても、脳の神経細胞がまだ移動を続けていることが明らかになりました。さらに、虚血性の脳障害を合併した超早産児の脳の標本を調べると、多くの神経細胞が移動経路の途中に留まっている所見が観察されました(参考図2)。

 次に、神経細胞が移動している時期に虚血が生じるとどのような結果が生じるのかを調べるため、ヒトの妊娠週数25 週程度に相当する時期のマウス胎仔に虚血操作を加え、我々が確立した「神経細胞を光らせて可視化する技術」(注2)で観察しました。すると、虚血によって細胞外の環境が変化することで、実際に神経細胞の移動が障害され、神経細胞が移動経路の途中に留まることが分かりました。このようなマウスには、ヒトと同様に、成育したのちに認知機能障害が生じました。

 しかし、虚血が起きるときのマウスの体温を低く保つことで移動障害と認知機能障害の発生が予防できることや、最近開発された神経活動操作法を用いて生後に前頭葉の神経活動を上げることで、認知機能障害が改善することも明らかにしました。

 ※参考図2は添付の関連資料を参照

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

参考図1

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0445606_01.PNG

参考図2

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0445606_02.PNG

リリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0445606_03.pdf

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