東北大と理研と名工大、植物病原菌感染の新しい仕組みを解明
発表日:2017年5月17日

植物への病原菌感染に新機構
植物の病原菌感染を防ぐ画期的な薬剤の開発に期待
【発表のポイント】
・植物病原菌感染の新しい仕組みの解明
・病原菌感染と害虫に対する植物の抵抗性はコインの裏表の関係で、同時に強化することはできないとされていたが、それを復す発見
・植物の病原菌感染を防ぐ画期的な薬剤の開発につながる
※図1は添付の関連資料を参照
【概要】
世界の農作物生産量の 15%は病害によって失われており、これは 5 億人分の食料に相当します。病害による農作物損失の解決は世界的課題です。
植物病原菌は、葉の表面の開口した気孔から植物体内に侵入して感染します。
これに対して植物は、気孔を閉鎖して感染を防ぎます。さらにこれに対抗して病原菌は、病原因子を分泌して気孔を再開口させ、体内に侵入します。病原因子は植物の虫害に対する抵抗性機構をハイジャックして作用するため、その作用を抑えて感染に対する抵抗性を高めると、虫害に対する抵抗性が低下するというジレンマがありました。
東北大学大学院理学研究科 上田実教授、理化学研究所袖岡有機合成化学研究室/環境資源科学研究センター 袖岡幹子主任研究員/グループディレクター、名古屋工業大学材料科学フロンティア研究院 築地真也教授らは、病原因子の気孔再開口作用に、これまで知られていた機構以外にも小胞体の関与するバイパス機構が関与することを発見しました。新規機構は、虫害への抵抗性には影響しないことから、この新規機構に基づいて、植物の病原菌感染を防ぐ画期的な薬剤の開発が期待されます。
※リリース詳細は添付の関連資料を参照
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図1
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0445252_01.PNG
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