東大など、世界最高性能の伸縮性導体を実現
発表日:2017年5月16日
「世界最高性能の伸縮性導体を実現
~ゴム内で銀ナノ粒子の自然形成現象発見による新素材への応用に期待~」
1.会見日時:2017年5月11日(木)11:00~12:00
2.会見場所:東京大学 工学部新2号館 3階 電気系会議室1A
(本郷キャンパス、会見場地図参照)
3.出席者:染谷 隆夫(東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻教授)
松久 直司(東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻博士課程 平成28年度修了、博士(工学))
4.発表のポイント:
◆印刷できる伸縮性の配線で、元の長さの5倍の長さに伸ばしても世界最高の導電率(935 S/cm(ジーメンス毎センチメートル))を達成した。
◆ゴムにマイクロメートル寸法の銀フレークを混ぜるだけで、ナノメートル寸法の銀の粒子がゴムの中に均一に自然に発生する現象を発見し、新素材が実現された。
◆伸縮性の配線を活用して圧力や温度のセンサーがテキスタイルの上に簡単に形成できるようになり、スポーツウェアやロボットへの応用が今後期待される。
5.発表概要:
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST、理事長:濱口 道成)の戦略的創造研究推進事業において、国立大学法人東京大学(総長:五神 真)大学院工学系研究科の松久 直司 博士と染谷 隆夫 教授を中心とした研究チームは、元の長さの5倍の長さに伸ばしても935 S/cmという世界最高の導電率(注1)を示す伸縮性導体(注2)の開発に成功しました。
この伸縮性導体は、ペースト状の材料を印刷することによって、ゴムやテキスタイルなど伸縮する素材の上に自由形の配線パターンを形成することができます。また、新素材の構造を高解像度の電子顕微鏡で詳細に調べたところ、ゴムにマイクロメートル寸法の銀フレークを混ぜるだけで、ナノメートル寸法の銀の粒子がゴムの中に均一に自然に発生する現象を発見しました。
印刷できる伸縮性導体は、高い伸縮性が要求されるスポーツウェア型のウェアラブルデバイス(注3)や人間よりも高い伸縮性を必要とするロボットの人工皮膚を実現する上で必要不可欠な技術です。従来の伸縮性導体は伸長させると導電率が大幅に減少するという課題がありましたが、本研究で発見した新現象によって解決されます。この成果により、スポーツウェアやロボットの関節に簡単に高伸縮性センサーを形成できるようになり、今後ヘルスケアや人工触覚などさまざまな応用が期待されます。
本研究成果は、国立研究開発法人理化学研究所(理事長:松本 紘)創発物性科学研究センターの橋爪 大輔 ユニットリーダー、井ノ上 大嗣 技師らとの共同研究です。2017年5月15日(英国時間)に英国科学誌「Nature Materials」のオンライン速報版で公開されます。
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