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京大、ビッグデータを使わない薬物候補探索モデルを開発

2017/3/8 17:45
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発表日:2017年3月8日

ビッグデータを使わない薬物候補探索モデルを開発

―化合物の実験データから薬効予測に有効なものを選びとる新手法―

<概要>

J.B.Brown 京都大学医学研究科講師は、チューリッヒ工科大学とマサチューセッツ工科大学の研究者とともに、複雑な人口知能(AI)やビッグデータを用いずに高い精度で薬物の候補物質をスクリーニングする手法を開発しました。化合物の構造や過去の実験データから反応の予測に重要な組み合わせのみを選び、そのデータを用いて予測するもので、全実験データの 10~20%程度を使いデータベースに含まれる全ての化合物が治療の標的となるタンパク質と反応するかどうかを高精度に予測することに成功しました。

今回の研究では新薬開発の主な標的である細胞膜タンパク質の一種で、細胞内外の情報伝達を行う Gタンパク質共役型受容体(以下、GPCR)とキナーゼ(酵素)の計 3 つのデータベースを使いテストを行いました。その結果、今回のモデルはどのデータベースでも高精度にタンパク質と化合物が反応するかどうかを予測することができました。創薬全体のコスト削減やデータ解析の効率化への利用が期待されます。

論文は3月6日、英・Future Science 社の学術誌 Future Medicinal Chemistry に掲載されました。

1. 背景

現在、世界各国で膨大な化合物のデータを用いた新薬の候補物質探索が行われています。数百万以上の化合物と疾患治療の標的となるタンパク質の反応を一つずつ調べるには膨大な資金と時間がかかるため、人工知能や数理モデルを用いて望ましい性質を持つ化合物を絞り込む必要があり、バイオインフォマティクスを用いた仮想スクリーニングへの注目が集まっています。

DeepMind 社の AlphaGo が囲碁のプロ棋士に勝利したこともあり、ディープラーニングや人工知能、ビッグデータ解析が注目を集めています。創薬の分野でもディープラーニングや人工知能を用いた研究が進められていますが、ディープラーニングを用いることででしか得られない画期的な成果はまだ出ておらず、薬効の予測に関しては予測精度をわずかに上げるのに膨大なデータが必要だという課題があります。また、ディープラーニングによる予測は精度が良くなったとしても、その理由は現段階では解釈できません。医薬品開発の場合は人の命に係わる副作用が出る場合もあるため、予測が外れた場合に「なぜ予測が外れたのか」解釈する必要があります。加えて、囲碁には完成されたルールがありますが、タンパク質と化合物との生理的な活性発現の仕組みに明確な理論はなく、薬剤の探索では AlphaGo のように膨大な量のシミュレーション学習を繰り返して予測精度を向上させるのは難しいのが現状です。

そこで、今回の研究ではいわゆるビッグデータ解析とは異なり、限られたデータから高精度の予測を実現する手法の開発を目指しました。また、予測が誤っていた場合も事後的な解釈を可能にするため、なるべくシンプルな予測モデルを構築しました。

※リリース詳細は添付の関連資料を参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

リリース詳細

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0438913_01.pdf

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