2017年11月22日(水)

日本株、薄れる円安の神通力
編集委員 北沢千秋

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2014/9/16付
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 円安ピッチの速さに比べ、日本株の戻り足がいまひとつ重い。ドル円相場が107円台に入った前週末、日経平均株価は1万6000円を目前に足踏み。昨年は活発な「円売り・日本株先物買い」でアベノミクス相場を演出したヘッジファンドの動きが鈍いうえ、市場には、消費税率の引き上げ後、停滞感を強める国内景気への警戒感がある。円安の株価に対する神通力は徐々に低下しつつある様子。代わって市場では、円安が景気や企業業績全体にマイナスの影響を及ぼし始める円相場の「分岐点」を気にする声が出始めている。

■昨年だったら「今ごろ1万7000円」

 「円安と株高がストレートに連動していた昨年前半までなら、日経平均は今ごろ1万7000円」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長はそう話す。確かに、円相場と日経平均の相関係数が限りなく1に近かった昨年の春ごろまでなら、日経平均はもっと上がっていたに違いない。なぜ、円安に対する株価の感応度は低下しているのか。

 1つは円安の業績押し上げ効果が薄れていることだろう。大和証券の守田誠ストラテジストの試算によると、ドル円相場が1円下落すると上場企業の1株利益は0.4%増加する。つい1~2年前には「1円の円安は1%程度の増益要因」といわれていたので、円安効果は半減したことになる。生産拠点の海外シフトなどで、外需関連企業が円安で受けるメリットが小さくなる一方、内需企業が原材料価格の上昇などで被るデメリットは次第に大きくなっている。

 ただ、今のところはまだ円安メリットの方が大きい。多くの企業は今期の業績予想の前提を1ドル=100円程度としており、足元の為替相場の水準が続けば、外需関連企業の増益幅は拡大する。大和証券の現時点での今期業績予想は1ドル=100円を前提に8.3%の経常増益。前提を1ドル=105円、1ユーロ=135円に変えると、増益幅は10%と2ケタに乗るという。10%の増益を前提にした今期予想ベースの日本株のPER(株価収益率)は14倍程度。「今の為替水準が続けば日本株の割安感が次第に評価され、年末に向けて株価はじわじわ上昇する」というのが守田氏の予想だ。

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