NY商品、原油が5日ぶり反落 ボルトン氏解任で中東供給不安が後退
【NQNニューヨーク=古江敦子】10日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場が5営業日ぶりに反落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の10月物は前日比0.45ドル安の1バレル57.40ドルで終えた。イランに対する強硬姿勢で知られるボルトン米大統領補佐官が解任され、米国とイランの対立が和らいで中東産原油の供給増につながるとみた売りが優勢となった。
朝方は買いが先行した。石油輸出国機構(OPEC)が主導する協調減産が長期に及ぶとの観測から需給改善を見込む買いが続き、10月物は一時58.76ドルと期近物として約1カ月ぶりの高値を付けた。だが、トランプ米大統領が正午前にボルトン氏の解任をツイッターで発表すると原油相場は下げに転じた。
米国による対イラン経済制裁への報復として、イランは中東原油の海上輸送の要衝であるホルムズ海峡近辺で6月に米国の偵察機を撃墜し、7月には英国籍のタンカーを拿捕(だほ)するなど緊張が高まっていた。ボルトン氏解任で中東の地政学リスクが和らぐとの観測が浮上し、原油供給を巡る懸念が後退した。
米エネルギー情報局(EIA)が10日発表の月報で、2019年と20年の原油価格見通しを前月から下方修正したのも相場の重荷だった。
金先物相場は4日続落した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で、取引の中心である12月物は前日比11.9ドル安の1トロイオンス1499.2ドルで終えた。米長期金利が大幅に上昇し、金利が付かない金の投資妙味が薄れたとみた売りを誘った。米中貿易協議が進展するとの期待が強まり、リスク回避目的で積み増してきた金の買い持ち高を解消する動きも出た。