NY円、続落 1ドル=114円30~40銭、米雇用情勢の改善で
【NQNニューヨーク=滝口朋史】8日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続落し、前日比40銭円安・ドル高の1ドル=114円30~40銭で終えた。米雇用情勢の改善を受けて米国債利回りが上昇し、日米金利差が開くとの観測から円売り・ドル買いが優勢になった。欧州中央銀行(ECB)の理事会などを控えて様子見姿勢も強く、売り一巡後は下げ幅を縮めた。
米民間雇用サービス会社ADPが発表した2月の全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数は前月比29万8000人増え、増加幅は市場予想(約19万人)を上回った。10日発表の2月の米雇用統計でも雇用情勢の改善が示されるとの思惑から米連邦準備理事会(FRB)による3月の追加利上げの可能性が高まったとの見方が広がった。
米長期金利の指標である米10年物国債利回りは2016年12月20日以来ほぼ2カ月半ぶりの水準に上昇(債券価格は下落)。金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは約7年9カ月ぶりの高水準を付けた。日米金利差の拡大観測から円は114円75銭と、3日に付けた2月15日以来の円安・ドル高水準に顔合わせする場面があった。
売り一巡後は下げ渋った。10日発表の米雇用統計で平均時給の伸びなどを確認したいという雰囲気は根強いうえ、9日にはECB理事会やドラギ総裁の記者会見を控えている。イベントを前に持ち高を一方向に傾ける動きは限られ、様子見姿勢が強まった。
円の高値は114円21銭だった。
円の対ユーロ相場は小幅ながら3営業日ぶりに小反落し、前日比15銭円安・ドル高の1ユーロ=120円55~65銭で終えた。円がドルに対して売られた場面で、ユーロに対しても円売り圧力が強まったが、ECB理事会を控えて下げ幅は限られた。
ユーロは対ドルで3日続落し、前日比0.0025ドル安の1ユーロ=1.0535~45ドルで終えた。米利上げ観測の高まりを背景にユーロ売り・ドル買いが優勢になった。ECB理事会を控え、安値圏では目先の利益を確定する目的のユーロ買い・ドル売りが入り、下げ幅は小幅にとどまった。
ユーロの安値は1.0535ドル、高値は1.0562ドルだった。