NY円、反発 1ドル=114円70~80銭 雇用統計後は持ち高調整の買い
【NQNニューヨーク=森田理恵】10日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日ぶりに反発し、前日比20銭円高・ドル安の1ドル=114円70~80銭で終えた。安値圏で始まった後、2月の米雇用統計の発表をきっかけに持ち高調整を目的とした円買い・ドル売りが優勢になった。
円安・ドル高が進んだアジア・欧州市場の流れを引き継ぎ、円には売りが先行した。早朝には一時115円51銭と、1月19日以来ほぼ2カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。
その後に発表された雇用統計では非農業部門の雇用者数が前の月から23万5000人増え、約19万人増の市場予想を大幅に上回った。
ただ、雇用統計の前哨戦とされる民間の雇用サービス会社ADPが8日発表した2月の全米雇用リポートで雇用者数は急増。市場では政府統計でも雇用者数は大きく増えるとみられていたため、予想通りの結果を受けて持ち高調整の円買い・ドル売りが広がった。
統計では賃金(平均時給)が前月比0.2%増と市場予想(0.3%増)にわずかに届かず、ドル売りの材料になったとの指摘もでた。市場の一部には「予想を上振れするとの期待があった」(邦銀)という。先行きのインフレ圧力がさほど強まらない可能性が意識され、ドル売りを促した。
14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げがほぼ確実視される。今週は利上げ観測から週後半にかけて円安・ドル高が進んできた。来週は日銀の金融政策決定会合やオランダ議会選挙など国内外で重要日程が多く、10日のニューヨーク市場ではひとまず円売りの持ち高を手じまう動きが出やすかった。
10日の円の高値は1ドル=114円66銭だった。
円は対ユーロで3日続落し、前日比1円円安・ユーロ高の1ユーロ=122円50~60銭で終えた。一時は122円83銭と、1月30日以来ほぼ1カ月半ぶりの円安・ユーロ高水準を付けた。ユーロが対ドルで大幅に上げ、対円でもユーロ買いが優勢だった。
ユーロは対ドルで大幅続伸した。前日比0.0100ドル高い1ユーロ=1.0670~80ドルで終えた。一時は1.0699ドルと2月9日以来1カ月ぶりのユーロ高・ドル安水準に上昇した。米雇用統計の発表後、対ユーロでもドル売りが広がった。
9日の欧州中央銀行(ECB)理事会で、量的金融緩和による資産買い入れの終了前に利上げする可能性について議論したと、複数の欧米メディアが報じた。最終的に支持は広がらなかったというが、ECBの政策が緩和方向から転換するとの思惑が強まり、ユーロ買いにつながった。
ユーロの安値は1.0597ドルだった。
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