NY円、反発 1ドル=109円90銭~110円00銭、米利上げ鈍化を意識
【NQNニューヨーク=横内理恵】8月31日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3日ぶりに反発した。前日比30銭の円高・ドル安の1ドル=109円90銭~110円ちょうどで取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指標が低迷し、米利上げペースが鈍るとの見方が広がった。米長期金利が低下し、日米の金利差縮小を見込んだ円買い・ドル売りが入った。
円は一時109円88銭まで上昇した。31日発表された物価指標である7月の米個人消費支出(PCE)デフレーターでは、食品・エネルギーを除いたコア指数が前年同月比1.4%上昇した。上昇率は6月(1.5%)から鈍化し、FRBが目標とする2%も大幅に下回った。物価低迷でFRBは追加利上げに動きにくくなるとの見方から米金利が低下し、円相場を押し上げた。
ムニューシン米財務長官は31日の米CNBC番組で「貿易の観点からドル安は米国にとって多少有益だ」などと語った。市場で、このところ続くドル安を容認したと受け止められたのも円買い・ドル売りを誘った。
ムニューシン氏は今後数週間で税制改革案を公表する考えを明らかにし、年内成立に改めて意欲を示した。だが、米金利の低下が続き、景気刺激策を意識した円売り・ドル買いは限られた。9月1日に8月の米雇用統計の発表を控える中、月末とあって持ち高調整を目的とした円買い・ドル売りも入りやすかった。
米テキサス州などを襲ったハリケーン「ハービー」による洪水被害が想定よりも拡大する可能性が高まっている。米調査会社リスク・マネジメント・ソリューションズは経済的な被害が最大900億ドル(約9兆9000億円)に上ると試算した。
だが、災害支援を円滑にするため、米議会は歳出法案や債務上限問題で合意するとの見方も多い。米経済に対するハリケーンの影響を見極めたいとして、市場では円相場の方向付ける材料になりにくいとの声があった。
この日の円の安値は110円66銭だった。
円は対ユーロで続伸し、前日比5銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=130円90銭~131円ちょうどで取引を終えた。
ユーロは対ドルで3日ぶりに反発。前日比0.0025ドル高い1ユーロ=1.1905~15ドルで終えた。低調な米物価指標やムニューシン財務長官の発言をきっかけにユーロ買い・ドル売りが優勢となった。
一方、午前はユーロが下落する場面もあった。ロイター通信が欧州中央銀行(ECB)内で急速なユーロ高を警戒する声は増えていると報じたのを受け、量的金融緩和の縮小には消極的になる見方からユーロ売り・ドル買いが出た。
この日のユーロの高値は1.1912ドル、安値は1.1823ドルだった。