アジアひと未来 第5部

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ジャカルタ暴動 「経済を支配」華人標的に
次世代を導く(2)

2017/1/15 2:00
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インドネシアでは1998年、30年間続いたスハルト独裁政権への国民の不満が暴動に発展した。ジャカルタから地方へ飛び火した騒乱の標的は「政権と癒着し経済を支配している」とみなされた華人だった。

インドネシアの華人人口は800万人弱。総人口の3%前後とされる少数派だが、中国を除けば世界最大の華人居住国といわれる。1945年の国家独立後、政府は華人を政治分野から排斥する半面、経済分野では結託・利用してきた。

暴動のきっかけは5月12日、ジャカルタのトリサクティ大学で反政府集会を開いていた学生に治安部隊が発砲、4人が死亡したことだ。政権に抗議する人々の矛先は「人口の3%なのに富の7割を握っている」とされた華人に向かった。

最大財閥サリム・グループのスドノ・サリム総裁(当時)の邸宅が焼き打ちされるなど華人の商店や家屋へ投石・放火が相次いだ。全土で1千人以上が死亡したとされるが正確な犠牲者数は今も分かっていない。

深刻な経済危機も遠因だった。前年の97年にタイを震源とするアジア通貨危機が発生し、信用不安の連鎖でインドネシア通貨ルピアも急落した。政府は国際通貨基金(IMF)からの支援受け入れと引き換えに補助金撤廃など大幅な構造改革に着手。急激な物価上昇が国民の生活を圧迫した。

暴動を引き金にスハルト政権は崩壊した。反共の同政権が中国の影響を排除するため文化・教育などで制定してきた華人差別の法律は廃止された。政治的権利も保障され、華人政党も現れるなど制度上の地位は向上した。

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