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もっと関西 世界の雷 パワー再現 音羽電機工業の避雷器試験(ここに技あり)
兵庫県尼崎市

2017/6/6 6:00
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「放電します」。防音壁に囲まれた室内に破裂音が響き、青白い稲妻が駆け抜けた。落ちた先の電球はともったまま。避雷器が雷の過電流を地中に逃がし、機器の故障を防いだのだ。

高電圧試験設備で人工雷を落とし、避雷器が正しく機能するか検証する

高電圧試験設備で人工雷を落とし、避雷器が正しく機能するか検証する

スマートフォンなど精密機器が身近になる中、落雷で半導体工場や通信施設が停電すれば被害は甚大だ。配電用避雷器で国内シェア6割を占める音羽電機工業(兵庫県尼崎市)の研究開発施設「雷テクノロジセンター」。避雷器がどれだけの負荷に耐えて正常に機能するか、人工雷を発生させて性能試験を行う。

■1万分の1秒で

4階建てで延べ床面積6600平方メートルの施設内には、雷の電圧と電流を再現する試験設備が計10台備えられている。中でも独自に開発した最大出力22万アンペアの電流設備は世界最大級だ。「世界各地で観測されるほぼ全ての雷の破壊力を再現できる」と同社技術部の円山武志部長(43)は胸を張る。放電時間を1万分の1秒単位で調節し、多様な雷を生み出す。

性能を見極めるには技術者の経験も欠かせない。制御室の測定器には、避雷器にかかる電圧の変化が線で表される。「ノイズと見間違うほどのわずかなズレにも故障の前兆がある」(円山部長)。設計や部品を変更しながら試験を重ねていく。1つの機種につき100回以上、多ければ1000回もの人工雷を落とす。

■都市や交通守る

同センターの開設は2008年。雷の直撃被害を調べる施設を構想していたところに、三菱重工業から耐雷試験を依頼された。国産ジェット旅客機「MRJ」の開発だった。当時の年間売り上げの半分以上にあたる約30億円を費やし、建設に踏み切った。その後も、ゼネコンや機械メーカーなど雷被害で悩む企業からの試験依頼を受けてきた。実績を積み上げ、近年ではあべのハルカスや北陸新幹線にも避雷器を納入している。

雷専門の気象情報会社、フランクリン・ジャパンによると、昨年は全国で約43万回の雷が観測された。これから夏に向けて落雷が増える季節。病院の医療機器が誤作動を起こせば人命に関わる。機械だけでなく人の生活も守るため、試験室で雷を落とし続ける。

文・写真

大阪写真部 山本博文

〈カメラマンひとこと〉 試験中の室内は立ち入り禁止。「カメラが壊れるかもしれませんよ」という言葉におびえながらも、三脚を高電圧試験設備にぎりぎりまで近づける。シャッターは遠隔操作で連続撮影だ。狙い通りに雷が落ちる瞬間を捉えることができ、カメラも無事だった。

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