次世代有機EL実用化へ 九州大発VB 15億円資金調達
九州大学発ベンチャーのKyulux(キューラックス、福岡市西区、佐保井久理須社長)は25日、次世代テレビなどの材料として期待される発光材料「次世代有機EL」の実用化に乗り出すと発表した。同日までに特許委譲や15億円の資金調達にメドが立った。現行品より低コストで発光効率が高いのが特徴。同社はテレビやスマートフォンの画面向けに2018年の製品化を目指す。
25日付で九州大学から関連特許を譲り受ける契約を締結した。また今月末までに、大学発ベンチャーに出資するQBファンドや科学技術振興機構から計15億円を調達。新たに研究者を数人雇用するほか、材料の調達費に充てる。今後、製品開発を共同で進める材料企業などを募る。
有機ELは自ら光を発する素材。テレビなどに使えば、画面の背面に光源が必要な液晶テレビなどよりも薄くでき、消費電力を抑えられる。ただ既存の技術では材料にイリジウムなどの貴金属が必要で、製造コストがかさむという問題があった。
Kyuluxは九大の安達千波矢教授らによる特許技術を活用する。貴金属を使わず、炭素や水素などの有機化合物を使うことで、製造コストは従来に比べ10分の1に抑えられるという。また分子構造を工夫することで現行品で課題だった青色の発光効率を改善できた。
Kyuluxは15年3月に設立。西日本シティ銀行と九大傘下の産学連携機構九州(福岡市)などが設立したQBファンドの第1号出資案件となった。
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