ラーメンの「一風堂」、マザーズ上場2日目で初値

2017/3/22 11:31
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世界ラーメン王への道の一歩を踏み出した――。東証マザーズに上場した博多ラーメン「一風堂」を展開する力の源ホールディングス(HD)株が22日、上場2日目でようやく値が付いた。初値は2230円で公開価格の約3.7倍となり、時価総額は約250億円になった。清宮俊之社長は上場による資金調達力を生かし、2025年までに海外で現在の5倍の300店舗に一気に広げる構想を描く。食文化の違いから日本の外食企業が苦戦してきた海外で、ラーメンを武器にグローバル企業に脱皮できるか。

海外ではレストラン形式の店舗も少なくない(シンガポールのモハメドサルタン店)

海外ではレストラン形式の店舗も少なくない(シンガポールのモハメドサルタン店)

上場を目前にした18日、シンガポールの中心街にある一風堂の「モハメドサルタン店」を訪ねると、聞き慣れた言葉が飛び込んできた。「イラッシャイマセー」。あいさつだけではない。メニューも日本でおなじみの豚骨ラーメン「SHIROMARU(白丸)」。味に大きな違いはないが、価格は約1200円と国内(720円)に比べて約1.6倍と値が張る。それでもラーメンを食べた男性会社員(38)は「スープがおいしい。また来たいと思う」と声を弾ませた。記者が同国で40人に一風堂を知っているか尋ねると、23人が「Yes」の答え。食文化の比較的近いアジアとはいえ、高い知名度を誇る。

そのシンガポールに一風堂は海外統括拠点を置いている。日本の外食企業が海外で成功するのは難しい。食文化の違いという大きな壁にぶつかるからだ。一風堂は日本の味を基準にしながらも、それぞれの国の味覚に合った味付けを施す。レシピは企業秘密ながらも、グループの海外事業を手掛ける力の源グローバルHDの佐野祥人執行役員は「味付けの濃さや塩度は(日本と)違う」とだけ明かしてくれた。

上場した21日に記者会見する河原会長(右)と清宮社長

上場した21日に記者会見する河原会長(右)と清宮社長

創業者で会長の河原成美氏は「ラーメンは多様性を表している」と強調する。豚骨だけでなく、しょうゆや味噌スープなど種類の豊富さがラーメンの特徴。現地に合ったラーメンに変えやすい。一風堂もフランスで野菜でダシを取る「ベジ麺」、ニューヨークで「クラムチャウダーヌードル」を提供してきた。河原会長は自ら各国を飛び回り、味付けを確認する一方、「日本人から見ればこれはラーメンじゃないというものもあるかもしれないが、自由を崩さず(ラーメンが)世界中に広がっていけば良いと思う」との柔軟な発想を持ち合わせる。

21日の上場直後に東証で開かれた記者会見。清宮社長は「2025年に国内300店舗、海外300店舗を目標にしている」と述べ、海外を現在の63店舗から約5倍引き上げる構想を明らかにした。国内はすでに133店舗あることから、海外への投資の比重が重くなる。

米国では中華料理運営のパンダ・レストラン・グループ(米カリフォルニア州)との合弁会社を設立し、同社の情報網を生かして出店を加速。東南アジアではイスラム教徒など豚肉を食べられない人向けに鶏ベースの「黒帯」ブランドを積極的に展開させる方針で、今春にはミャンマーでの出店も計画する。

一風堂は「女性でも入りやすいラーメン専門店」という従来のイメージを覆すコンセプトを打ち出して、国内でブランドを築き上げた。だが、味の基礎となる水や食材は海外の地域ごとに異なり、日本の感覚では難しい。同じく豚骨ラーメンの一蘭(福岡市)は昨年10月のアメリカ初出店まで、10年近く味の試行錯誤を重ねた。河原会長は「上場で再スタートを切りたい」という。世界のラーメン王への道は、スピードも問われる。

(定方美緒、シンガポール=三島大地)

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