2019年8月24日(土)

福岡、22年ぶり住宅地上昇 域外マネー流入 九州沖縄基準地価

2017/9/19 21:50
保存
共有
印刷
その他

九州・沖縄の8県が19日発表した2017年の基準地価(7月1日時点)は、福岡県の住宅地が22年ぶりに、熊本県の商業地が26年ぶりにそれぞれ上昇に転じた。再開発などへの期待を追い風に、九州域外からもマネーが流入。沖縄県では好調な訪日観光が投資をけん引する。ただ、それ以外の県では中心部で上昇の動きが見られたものの、全体では下落傾向が続いている。

福岡県の商業地で上昇率2位、価格3位となった花村ビル(福岡市博多区)

福岡県の商業地で上昇率2位、価格3位となった花村ビル(福岡市博多区)

◇福岡

福岡県は昨年横ばいだった住宅地が0.5%の上昇に転じた。商業地は2.3%の伸びに。上昇は2年連続で、上昇幅も拡大した。上昇地点の数は308から361に増えた。

住宅地では上昇率の全国トップ10に県内から4地点も入った。福岡市中心部で開発用地が少なくなり、周辺部で上昇率が拡大。北九州市は18年連続で下落していたが横ばいになった。久留米市でも20年ぶりに上昇に転じ、0.2%の伸びとなった。

商業地の上昇を巡っては、訪日客の増加や人口流入を追い風に、福岡市中心部でホテルやオフィス開発への期待が高まっている。ただ、市況の過熱を懸念する声も出ている。不動産業界の関係者は「最近、10年前の5倍の値段で土地が売買されるなど、常識外の取引もみられた」と話す。

◇佐賀

佐賀県全体では、住宅地、商業地ともに下落。住宅地は19年連続、商業地は24年連続のマイナスとなった。ただ、下落幅は5年連続で縮小しており、工業地は21年ぶりに上昇した。

地域別でみると、佐賀市は住宅地が21年ぶりに上昇し、商業地も25年ぶりに上昇。JR佐賀駅周辺の商業地は利回りを狙う県外需要のほか、企業の実需も出てきた。鳥栖市も住宅地が18年ぶりに上昇し商業地も横ばい。福岡に近く物流拠点を持つ鳥栖市から佐賀市にかけての県東部は新規の好物件が少なく高価格帯がさらに上昇、県西部との格差が拡大している。

◇長崎

長崎県は住宅地がマイナス1.5%で19年連続、商業地は同0.8%で25年連続下がった。下落率は縮小し、変動率がプラスとなる地点数は住宅地が40(前年は31)、商業地が27(同26)と増えたが、五島や壱岐などの離島は県全体より下落率が大きく、歯止めがかかっていない。

住宅地は大村市、時津町、佐々町以外は下落。長崎市は前年のマイナス1.2%から同0.6%に縮小した。長崎市の中心部は上昇率が拡大したが、車が通れない斜面地は下落傾向にある。商業地は長崎市、大村市、時津町がプラス。

◇熊本

熊本県は、商業地が0.1%上昇し、26年ぶりにプラスに転じた。熊本地震からの復興需要や低金利の継続により、熊本市内を中心に都市圏の商業地の引き合いが活発になっている。住宅地は20年連続で下落したものの、被災地の復旧・復興の進捗などで下落幅が縮小した。

商業地は、熊本市中央区の商店街の中心で15.0%の大幅な伸びになった。熊本市内5区全体で2.6%上昇し、県全体を押し上げた。住宅地は、マイナス0.4%と前年より減少幅が0.7ポイント縮小した。

地震の被害が特に大きかった益城町や西原村、嘉島町の住宅地が上昇に転じた。熊本市の住宅地は4年連続、商業地は3年連続の上昇になった。

◇大分

大分県は住宅地が19年連続、商業地が26年連続の下落となった。下落率は前年比で住宅地が0.5ポイント、商業地が0.7ポイント縮小。上昇地点は住宅地で34(前年は10)、商業地で12(同4)と増えたが、全体では下落傾向が続く。

住宅地では県全体で0.6%の下落。ただ、下落が17年続いた大分市は0.2%アップ。19年ぶりの上昇となった。「JR大分駅南口区画整理事業がほぼ完了、駅ビルなど商業施設の集客力や利便性が向上した」と不動産鑑定士の坂本圭氏。

別府市に隣接する日出町も19年ぶりに上昇。上昇率0.4%は県内トップだった。日出町はJRの便が良く、地域の中心部に図書館が整備されるなどし、家族連れに人気が高まった。

商業地は県全体では0.8%の下落だったが、大分市は上昇に転じた昨年より伸び率が拡大し、1.1%のプラス。駅周辺を中心に地価は上昇傾向にある。

◇宮崎

宮崎県の住宅地は18年連続、商業地は26年連続で下落したが、下落率はともに前年より縮小した。調査295地点のうちプラス変動は住宅地の19地点で、前年より5地点増えた。上昇傾向にある住宅地は前年と同様、市街地に近く利便性の高いことや、津波のリスクに備えて高台にあることなどが特徴。前年にプラス変動となった地点を中心にその周辺にも広がってきたという。

一方、商業地は最も価格の高い地点でも横ばいと、回復が遅れている。不動産鑑定士の横山泰三氏は「来春に増床オープンする大型ショッピングモールにより、人の流れがどう変わるかを懸念した様子見の傾向がうかがえる」とみている。

◇鹿児島

鹿児島県は住宅地が20年連続、商業地が26年連続のマイナスだったが、下落幅はそれぞれ前年より0.4ポイント、0.7ポイント縮小した。上昇は住宅地で9地点、商業地で10地点あり、奄美市内の住宅地1地点を除くとすべて鹿児島市内だった。

市内での大型商業施設の開業や再開発計画などを受け、鹿児島市では商業地が10年ぶりにプラス変動となった。住宅地も下落幅の改善度合いが県全体より大きかった。

不動産鑑定士の大吉修郎氏は「鹿児島市内では再開発が地価変動に与える影響は大きく、今後の進展が注目される」と話している。

◇沖縄

沖縄県の住宅地、商業地はともに4年連続で上昇した。上昇幅も拡大が続き、住宅地の上昇率2.4%は前年に続き全国で最も高かった。上昇地点は住宅地が132地点(前年は116地点)、商業地が61地点(同57地点)といずれも増えた。

沖縄県は人口が増加しており、基幹産業の観光業が好調で消費も堅調。県内景気の拡大を背景に住宅地や商業地の需要の高まりがみられる。不動産鑑定士の高平光一氏は「出てくる土地が少なく価格も上がった那覇市から、需要が外延的に広がっている」と指摘する。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。