原発避難「複数ルートを」 玄海訓練で離島住民

2017/9/4 21:55
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政府と佐賀県などは4日まで2日間の日程で、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の事故を想定した原子力総合防災訓練を行った。4日は原発から30キロ圏内にある離島住民が船やヘリで避難する訓練を実施。参加者からは避難の難しさや、複数の逃げ道の重要性を指摘する声が出た。

玄海原発事故を想定した訓練で放射線検査を受ける男性(4日、長崎県波佐見町)

玄海原発事故を想定した訓練で放射線検査を受ける男性(4日、長崎県波佐見町)

訓練は佐賀県北部で震度7の地震が発生し、玄海原発4号機から放射性物質が放出されたとの想定。住民ら計約6500人が参加し、周辺地域の避難計画が機能するかを検証した。

玄海原発は半径30キロ圏内に20の離島があり、事故時の迅速な避難が課題。長崎県松浦市では5つの離島から住民約90人が訓練に参加した。

「この機械で体の表面についた放射線を調べます。手のひらを出してください」。午前10時半ごろ、九州本土の長崎県波佐見町の体育センターには、離島から船や橋経由で避難してきたマスク姿の住民が続々と姿を見せた。スクリーニング検査や問診などを受けてから、館内に退避した。

松浦市飛島から参加した高田清美さん(58)は海上保安庁の船で避難した。ただ海が荒れていれば船は出せない。島では避難シェルターが建設中だが「今事故が起きれば逃げ場はない。助け合いながらの避難は時間がかかる。再稼働しても事故がないことを祈るしかない」と話した。

原発から10キロほどの松浦市鷹島の小田満敏さん(56)は橋を通って避難したが「実際に事故が起きれば渋滞するはず。訓練通りにはいかない」と険しい表情。橋は1本のみで、島から出るにはいったん原発に近づくルートしかない。「道路が被害を受けて立ち往生するかも。逃げ道は複数用意して」と注文をつけた。

佐賀県唐津市の加唐島では住民十数人が自衛隊ヘリで市内の本土側に避難する訓練も。ヘリに乗った小島征二さん(73)は「船は乗り慣れているけど、ヘリは初めてで怖かった。万が一の際に空から逃げられることが分かったことは良かった」と話した。

訓練では3日に政府が「原子力緊急事態」を宣言し、唐津市に設けた現地対策本部で4日にかけて各地の放射線量をテレビ会議で共有する手順などを確認した。4日には上空からヘリで線量を測定する訓練も行われた。

北朝鮮による核実験で担当職員が実際に放射性物質のモニタリングに回るなどしたため、一部の訓練は実施できなかった。内閣府の荒木真一官房審議官は「参加者から課題を聞き取り、必要なら計画の見直しなどを行っていきたい」と話した。

玄海原発は九電が来年1月にも3号機を再稼働する計画で、今回が再稼働前の最後の訓練になる見通し。

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