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計画一転 戸惑う住民 淀川水系ダム論争(1)
軌跡

2014/9/9付
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滋賀県や三重県などの山間部を源流とする淀川水系は国の大型ダムをめぐって激論が戦わされた地域だ。学識経験者や流域住民らでつくる国土交通省近畿地方整備局の諮問機関、淀川水系流域委員会の提案が中止につながったダムもある。

福井県境に近い滋賀県長浜市の山中に水資源機構の丹生(にう)ダムの建設予定地がある。JR北陸本線の余呉駅から北へ10キロ。緑深い渓谷に高時川が流れ、魚釣りを楽しむ人が見受けられた。冬は豪雪に見舞われるという。

今年1月、近畿地方整備局は関係自治体との同ダムの検討の場で、建設中止の方向を示した。今後、国交相が最終決定する見通し。建設予定地の住民の移転を終え、12年度までに周辺道路の整備など事業費566億円余りが投じられた中での方針転換だ。

予備調査が始まったのは1968年に遡る。堤の高さは145メートル、総貯水容量は1億5000万立方メートルだ。滋賀県は高時川などの洪水対策、琵琶湖下流の京都府、大阪府、阪神水道企業団(神戸市など兵庫県内4市で構成)は水道への利用を要望し、家屋の移転などが進んだ。

2003年、淀川水系流域委員会が自然環境への配慮などを理由にダム見直しを提言してから状況が変わった。05年に京都府、大阪府、阪神水道企業団が水需要の減少で撤退し、水源確保でダムをつくる理由がなくなった。その後、堤防補強などで治水も代替できることが分かった。

計画に反対しながら移転した住民は国に怒りの声を上げる。住民でつくる丹生ダム対策委員会の丹生善喜委員長は「整備局が8月に示した地域整備の項目を対策委で協議する」と話す。

建設が継続された例もある。水資源機構の川上ダム(三重県伊賀市)について、国交省は8月に継続を決めた。

予定地は近鉄青山町駅から車で10分、伊賀市の住宅地にも近い。67年に予備調査が始まり、総事業費は1180億円(07年時点の試算)。堤の高さは90メートル、総貯水容量は3100万立方メートルだ。利水を計画していた奈良県、兵庫県西宮市が撤退したが、伊賀市は利水と治水、三重県、京都府、大阪府は治水で事業にそれぞれ参画している。

流域委が見直しを求めたダムの一つでもあった。しかし整備局との検討の場で三重県や伊賀市が最近の豪雨の浸水被害を訴えた。整備局は代替案と比べた結果、ダムが有利と判断した。

川上ダム建設促進期成同盟会の西山甲平会長は「住民の生命と財産を洪水から守るため完成してほしい」と要望する。反対派の住民団体「木津川流域のダムを考えるネットワーク」の浜田不二子さんは「治水効果は限定的ではないか」と疑問を投げかける。

ダム見直しを求めた流域委はどんな組織だったのか。

編集委員 種田龍二が担当します。

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