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遺産候補 古墳群で誘客へ 堺、観光都市への道(1)
軌跡

2017/9/4 17:00
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「やったー」。7月末、堺市役所21階の展望フロアが大歓声に包まれた。国の文化審議会が「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(大阪府)を世界文化遺産の推薦候補に決めた瞬間だ。眼下に広がる大山古墳(仁徳天皇陵古墳)に吉報を祈っていた「世界遺産登録を応援する堺市民の会」の前田寛司会長は「4度目の挑戦でついに願いがかなった」と目を潤ませた。2010年に推薦候補の暫定リストに掲載されて7年。今後も課題解決に向けて官民一体の努力が求められるが、19年夏の登録実現へ前進した。

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堺市は臨海部に新日鉄住金やシャープなど大規模工場が林立する。工業都市のイメージが強く、観光地としての認知度は決して高くない。だが、政令市に移行した06年、市は産業空洞化による製造業の地盤沈下に危機感を抱き「文化観光再生戦略プラン」を作成。観光とものづくりを車の両輪に成長を図る方針を打ち出した。

それから10年余り。市は仁徳天皇陵など百舌鳥古墳群のほか、中世に「東洋のベニス」と呼ばれた堺旧港の史跡、堺生まれの千利休と与謝野晶子、和包丁やアナゴといった伝統産業と食文化をPRしてきた。ボランティアの地道な取り組みはリピーターを呼び込んだ。16年度に堺市を訪れた観光客は1000万人弱で、10年間で1.8倍に膨らんだ。

観光戦略で重点目標に掲げるのが古墳群の世界遺産登録だ。大阪府で初の登録が実現すれば「観光地としての評価は一気に高まる」(堺観光コンベンション協会の隈元英輔副会長)。関西大学の宮本勝浩名誉教授は8月、世界遺産登録による経済効果は堺市で338億円、府全体では1千億円を突破するとの試算を公表した。ただ、登録されるには専門家の現地調査などで普遍的な価値を認めてもらう必要がある。登録のハードルは年々高まっており、楽観は禁物だ。

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文化審議会は7月、「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産の推薦候補に決めた(堺市役所)

文化審議会は7月、「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産の推薦候補に決めた(堺市役所)

堺市は格安航空会社(LCC)の就航ラッシュでにぎわう関西国際空港と大阪市を結ぶ途中という恵まれた立地にありながら通過客が目立つ。観光都市をめざす取り組みを検証するとともに、急増するインバウンド(訪日外国人)などを呼び込むうえでの課題を探った。

堺支局長 小島基秀が担当します。

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