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もっと関西 障害者 社会支える一員に 社会福祉法人理事長 竹中ナミさん(私のかんさい)

「面白いは偉い」文化 強み

永田町や霞が関でも「ナミねぇ」と呼ばれる。IT(情報技術)を活用し、障害のある人の就労を支援する社会福祉法人「プロップ・ステーション」理事長の竹中ナミさん(68)は持ち前のバイタリティーで政治家や官僚を含め幅広い人脈を築いてきた。

 たけなか・なみ 1948年神戸市生まれ。神戸市立本山中卒。独学で障害者福祉を学び91年に就労支援の「プロップ・ステーション」を創立。財務省財政制度等審議会委員などを務め、2012年関西大客員教授。

筋金入りのワルだった私を更生させてくれたのは、44年前に重度の障害を持って生まれてきた娘だ。障害のある子はかわいそう、家族はつらいという固定観念を変えたい。「障害者」ではなく「チャレンジド(挑戦するチャンスを与えられた人)」として、社会を支える一員にしたい。そんな思いで突っ走ってきた。

重い障害のある人にとって五感や脳の一部になってくれるコンピューターへの期待は大きい。訓練によって高いスキルを身につけることもできる。私の役割は「こんな仕事ができるよ」と社会に発信すること。そこで役立つのがギネス級の口と心臓だ。関西人はよく物おじしないと言われるが、私もびびらず、いろいろな人とつながってきた。

そのうちの一人が村木厚子さん(元厚生労働事務次官)。初対面のあいさつを兼ねて著書を持って行ったら一晩で読んでくれて「この本で上司と戦えるわ」と。性格は正反対だが同じ志を持つ親友だ。彼女と10年前に始めた月1回の勉強会には、中央10省の事務次官が集まってくれる。相手はナミねぇ、私はちゃん付けで呼ぶのがルールだ。

 ■「チャレンジドを納税者に」という取り組みを始めて26年。ITを使い、自宅で働く仕組みづくりが兵庫県で動きだす。

私たちの仲間には身体や精神の状態に波があり、調子が悪いと寝ていなければならない人もいる。兵庫県と厚労省が連携し、2017年度からクラウド上で企業が仕事を発注し、チャレンジドが在宅で仕事ができるモデル事業が始まる。システムが整ってくれば障害が重くても働くことができるようになるだろう。

重症心身障害の長女、麻紀さんの存在が活動の支えになっている(兵庫県小野市)

前例がないことばかりで「障害者にコンピューターを売りつけるのか」と誤解されたこともある。その一方で、関西では多くの人が「おもろそうや。やったらええやんか」と応援してくれる。何よりも面白い事が偉いというのが関西の文化で、それが私には心強い。東京ではまず企画提案が求められ、ちゃんとしているものなら応援してもらえるのだろうが、私がもし最初から形を求められていたら無理だったと思う。

 ■「根っからの関西人」にとって、企業も人も東京に吸い寄せられる状態は歯がゆい。

東京でしゃべりやすい人に会うと、実は関西出身だったということがよくある。混沌としていても面白そうならやってみようという関西人の感性はこれまで日本を元気にしてきたパワーの一つだし、これからも必要とされるだろう。

関西のトップリーダーが「東京一極集中はいかん」と言いながら本社を東京に持って行ってしまうのは残念。東京なんか行かないという京都企業の気概を大阪や神戸も見習い、もうちょっと根性を入れてほしい。だからといって、東京を嫌ったり敵視したりする必要はない。上手に付き合い、関西に必要なものを引っ張ってくることも大事だ。

私は関西を元気にするため、東京での人脈や得られた情報を持って帰ろうと思っている。大阪には国際博覧会(万博)の話もある。19年には神戸市で義肢装具の国際会議も予定されている。チャレンジドのさらなる活躍の機会になればと準備に走り回っている。

(聞き手は神戸支社 下前俊輔)

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