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黒い姫路城、異様さ伝える 戦争遺跡、無言の語り部(5)

軌跡

今年3月に平成の大修理を終えた姫路城。しっくいの白さが輝きを増し、多くの観光客が訪れる。この白亜の城も戦時中、黒く偽装された。

姫路市立城郭研究室には、大天守の最上層が黒くなった写真が保存されている。1941年に撮影された。コールタールで黒く染めたわら縄を編んで偽装網をつくり、東西南の3方の外壁につるした。城周辺には師団本部や軍需工場があり、空襲の目標になることを避ける狙いだった。

地元史家がまとめた「姫路城史」などによると、41年9月、大天守の最上層の外壁に偽装網を試験的に装着した。翌年の5月には大天守の残りの層と3つの小天守の各層に偽装網がかけられた。45年7月の空襲で三の丸などに焼夷(しょうい)弾が落ちたが、天守などの建築物は奇跡的に損傷を免れた。

今でも、西の丸にある百間廊下には偽装網をかけるために打ち込んだクギが残る。外壁に約20本のL字型に曲がったクギが打ち込まれている。

滋賀県立大学の中井均教授(日本城郭史)は「偽装網で城が本当に隠せると思ったのだろうか。竹やりで爆撃機を落とそうとするような、合理性を欠いた精神主義的なものを感じる」と指摘する。

戦争遺産はそこにあることで、見る者に様々なことを語りかける。戦後70年たち、戦争体験者はさらに減っていく。戦争を語り継ぐ遺産は重みを増していくはずだ。

(この項おわり)

次回は「『幻の都』を求めて」

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