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ニコイチ改修 子育てに的 泉北ニュータウン半世紀(3)

軌跡

泉北ニュータウンには大阪府住宅供給公社や都市再生機構(旧日本住宅公団)などの公的賃貸住宅が約3万戸あり、総戸数の半分を占める。放っておけば築40年超の建物は現在のライフスタイルに合わなくなり、住民の流出が加速する。標準的な5階建ての団地にエレベーターがないことも上層階の高齢者には不便で、引っ越しに拍車をかける。

例えば、同公社の茶山台団地。2011年に11%だった空き家率が、16年に19%まで上昇した。危機感を抱いた公社が打ち出したのが、隣り合った2戸の壁を取り払って1戸にリノベーション(大規模改修)する「2戸1(ニコイチ)化」プロジェクトだ。

家族で住むにはやや狭い45平方メートルの床面積を90平方メートルに倍増させ「子育て世帯がゆったり暮らせるように設計した」(建築家の星田逸郎氏)。今年1月の初募集には申し込みが殺到し、最高倍率は9倍に跳ね上がった。「来年1月も第2弾の募集を予定している」(同公社団地再生課)

泉北ニュータウンは千里ニュータウンに比べて大阪市内への交通の便が悪く、人口を増やすのは難しい。今後は戸数を減らしつつ、魅力的な建物に変身させる「減築」で再生を図る動きが広がりそうだ。

10月下旬、泉北ニュータウン内で戸建て住宅の改修などを学ぶ勉強会が開かれた。子育てを考えて同タウンの一戸建ての購入を検討する会社員の宮宇地清至さん(37)は「家は買って終わりではない。リノベーションで住みやすさが一変するのが分かった」と話す。

両親が同タウンに住む50代の女性は「築40年の実家の段差解消などバリアフリー化について専門家の意見を聞きたかった」という。戸建ても本格的な改修の時期を一斉に迎え、対策が急務となっている。

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