「買い物難民」高齢者救え 泉北ニュータウン半世紀(2)
軌跡
泉北ニュータウンは「泉ケ丘」「栂(とが)」「光明池」の3地区に大きく分かれ、小学校を単位とする計16の住区で構成する。各住区の中心には日常の買い物をする店などを集めたミニ商業エリアの「近隣センター」がある。

しかし、近年は周辺に大型のショッピングセンターが増え、買い物客の流出による売り場面積の縮小や閉店に歯止めがかからない。堺市の調査では、16の近隣センターのうち、核となるスーパーが存続しているのは7カ所にとどまる。
車を持たない高齢者にとり、徒歩圏にある近隣センターの衰退は死活問題だ。毎日バスで遠くの店まで行くのを強いられる「買い物難民」に嫌気が差し、駅前のマンションに引っ越す老夫婦が後を絶たない。
泉ケ丘地区の茶山台近隣センターでは2010年3月、大丸ピーコック(現イオンマーケット)の食品スーパーが撤退した。店舗だった建物は長らくシャッターが下りたままだったが、15年秋に跡地を活用した特別養護老人ホームが開業。「住民の要望に応え、カフェとミニスーパーを併設した」(グランドオーク百寿の大辻佑介リーダー)ところ、人通りが増えて活気が戻ってきた。
栂地区の御池台近隣センターでスーパーを運営する泉北御池台市連マーケット事業協同組合は10月、神戸物産の「業務スーパー」のフランチャイズチェーン店に業態変更した。プライベートブランド(PB)商品の品ぞろえを増やし、大型店との価格競争力を強化するのが狙い。改装資金を融資した商工中金は「市や商工会議所からも協力要請があった」(堺支店の担当者)と明かす。
日々の暮らしの拠点となる近隣センターを活性化できるかがニュータウン全体の再生への試金石となる。