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官民連携、港に次世代基地 見えてきた水素都市・神戸(1)
軌跡

2016/6/28 6:00
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2014年3月6日、就任して3カ月余の久元喜造・神戸市長は、インフラ輸出について話す官邸の会議で、菅義偉官房長官、麻生太郎副総理・財務相らに、世界的に先駆となる構想を披露した。

神戸の空港島に実証用の基地ができる(イメージ)=CO2フリー水素サプライチェーン推進機構提供

神戸の空港島に実証用の基地ができる(イメージ)=CO2フリー水素サプライチェーン推進機構提供

「水素エネルギーを神戸に荷揚げして利用する事業を展開したい」。水素はCO2(二酸化炭素)を発電時に排出しない。温暖化ガス削減が地球規模のテーマになる中で期待を集めるが、普及方法が課題。神戸市の構想は、オーストラリアから大量の水素を液体に圧縮して船で神戸港に運び、基地に貯蔵し、発電などに効率的に利用するものだ。

水素の供給網が確立すれば、次世代のインフラとして輸出も可能。「将来の話」として構想を示した久元市長だが、神戸港に「水素社会」実現へ向けた拠点が姿を現す計画は着々と固まってきた。

今年1月、川崎重工業や岩谷産業などと連携し液化水素の基地を、神戸空港がある空港島に設けることが決まった。豪州に大量にある褐炭から製造した水素を輸入、20年度にまず実証のため稼働する「まぎれもなく世界初」(川重)の基地となる。神戸市は市有地約1ヘクタールに今年度は約5億8千万円を投じ、岸壁などを整備する。

港のポートアイランド地区では大林組や川重が水素を燃料とする電気をつくり18年から周辺の公共施設に供給する予定。市も予算を計上した。実際の市の施設などを使って水素の本格利用に道を開く。

水素の普及技術には神戸周辺の企業も既に挑んでいた。

リーマン・ショック直前、世界金融危機の暗雲が日本にも漂っていた08年夏、川重の技術開発本部は、水素事業の構想を経営陣に提案した。

「当社の既存技術を低炭素社会に生かせます」。液化天然ガス船などで培った技術を、水素の液化や運搬に活用する案だ。前年から練り始めたが、厳しい景況の中、「将来の柱に育つ事業」を探していた当時の大橋忠晴社長(現相談役、神戸商工会議所会頭)らの目に留まる。翌年にプロジェクト推進の部署ができ、開発が進む。

尼崎市に燃料電池車の商用水素ステーション第1号を14年に開設した岩谷産業は、液化水素の製造も関西で早くから進めた。民間の蓄積をもとに、神戸が水素社会の先陣を切ろうとしている。

神戸支局長 福田芳久が担当します。

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