ふるさと納税 関西トップは譲らない 泉佐野市、LCCとタッグ(ひと最前線)

2016/7/21 6:00
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毎年恒例のふるさと納税寄付額ランキング。2年連続で関西トップの座に就いたのは大阪府泉佐野市だ。2015年度の寄付額は前年度比2.5倍の約11億5000万円と、一気に10億円の大台に乗った。だが、市の担当者は「ライバルの追い上げは急。目新しい話題を発信し続けなければ2位以下に陥落しかねない」と気を引き締める。

ふるさと納税は寄付税制の一種。自治体に対する個人の寄付で、寄付額のうち原則として2千円を引いた額が所得税と個人住民税の減税で手元に戻ってくる。地元の特産品などを返礼品として贈る自治体が多く、それを目当てに利用する人も増えている。

泉佐野市の返礼品で1番人気を誇るのが、格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの航空券に交換できる「ピーチポイント」だ。地元の関西国際空港に本社を置く縁で、返礼品に採用した。1万円を寄付すると5000ポイント受け取れ、1ポイント=1円として航空券の購入費に充てられる。

市が14年7月に返礼品として導入するや、寄付額はうなぎ登りに増えた。発案した政策推進課成長戦略担当参事の阪上博則(44)は「それなりに勝算はあったが、ここまで伸びるとは思わなかった」と語る。当初はTシャツやバッグなどピーチのオリジナル限定商品も用意したが、あっという間になくなった。

「実は数年前、ピーチに転職することを考えていたんです」と阪上は明かす。新規路線の就航イベントなどに協力するうち、民間企業の元気なムードに引かれたという。

ところが14年3月、ピーチの広報部門への出向辞令が突然出た。「心底びっくりしたが、願ったりかなったり」というわけで、古巣の市との間でピーチポイントの導入作業にあたった。準備期間が短く、連日深夜まで残業したため、「長男を出産したばかりの妻に大きな負担をかけた」と振り返る。

当時は地元の特産品を返礼品にしている自治体がほとんど。航空券に交換可能なポイントが選べるのは珍しかった。一般的な商品券と違い、利用できるのが寄付者に限られ、換金性がないことも採用の決め手となった。その後、宮崎県小林市などピーチが就航する空港周辺の自治体は続々と返礼品に採用している。

現在、ピーチでピーチポイントのサービスを運営するのが、ビジネスディベロップメント課マネージャーの今西紀彰(41)と同課スペシャリストの山崎晃二郎(32)だ。今西は今年4月、阪上の後任として泉佐野市から出向した。2年前にピーチポイントを返礼品にする際は、市側の担当者として阪上と調整を進めた。

ふるさと納税をする人は一定の所得があり、財布に余裕のある中高年が多い。LCCは価格に敏感な若い人の利用が中心だったが、「ポイントでピーチを初めて利用する高齢者が増え、顧客の裾野が拡大している」と今西は指摘する。山崎も「各地から関空に来て泉佐野市周辺で観光する人が増え、地域の活性化に役立っている」と話す。

ピーチポイントが返礼品に採用される前は、地元特産の泉州タオルが最も人気だった。あおりを受け、ガクンと落ち込んだのかと思いきや、大阪タオル工業組合(泉佐野市)営業部長の宮内純(49)は「逆に増えて、ウインウインの関係」と強調する。当初はピーチポイントを狙って寄付した人の一部が泉州タオルを選んでいるという。

3年連続のトップを目指し、阪上は返礼品のリニューアルに余念がない。6月下旬には市と友好関係にあるモンゴルで開かれるマラソン大会の出場権を追加した。「まだ手の内は明かせないが、8月にも魅力的な返礼品を一気に増やす予定」と自信をのぞかせる。=敬称略

(堺支局長 小島基秀)

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