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「争い」は進化の結果か ゴリラに学び 人を知る(8)
軌跡

2016/4/29 6:00
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ゴリラは怖い動物と思う人は多い。1933年の初上映から何度もリメイクされた映画「キングコング」が典型的なイメージだ。だが山極寿一氏は「ゴリラは穏やかな性格で平和な動物だ」と語る。

けんかに割って入り、仲裁する仲間のゴリラ(中央)

けんかに割って入り、仲裁する仲間のゴリラ(中央)

もちろんゴリラもけんかをすることはある。山極氏はある時、オスゴリラ2頭がにらみ合い、ぶつかり合う現場に遭遇した。すると、群れの仲間たちが金切り声を上げて両方にしがみついて引き離した。オス2頭は「仕方がない」という表情で離れていった。

ニホンザルの場合はけんかが起こると、周りのサルもどちらか強い方に加勢し、はっきり勝敗をつける。ゴリラの場合は「けんかをしても勝敗をつけない。仲間は止めに入る」(山極氏)という。

一方、人間社会は殺人やテロが絶えず、果ては戦争を引き起こす。700万年前までにゴリラやチンパンジーなど類人猿から分岐し、進化したはずの人間の方が争い事が激しいのはなぜか。

人間の祖先は長く狩猟・採集をして移動しながら暮らしていた。「集団同士で殺し合うことは無く、摩擦が起こっても他所に移り住めば済んだ」(山極氏)。ところが1万2000年前に農耕・牧畜の生活スタイルに移行したころから、山極氏は「人間の争い事は急激に増えた」と分析する。

山極氏の見立てはこうだ。耕作地や家畜を所有することが「防御」の意識や執着心を強めた。さらに、言葉の発明が言い争いによる他者への挑発に拍車をかけ、狩猟のための武器を人間に向けて放つようになった――。

戦争につながる「攻撃」は動物としての本能という説もあったが、「今は研究者の間で否定されている」(山極氏)。動物の本能ではなく、文明の発展が人間同士の衝突をもたらしたとすれば、人間は謎の多い複雑な生き物だ。

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