海外食材卸や再生医療拡大 宝HDが中計
宝ホールディングス(HD)は9日、新たな3カ年の中期経営計画を発表し、海外食材卸や再生医療など新事業を拡大する方針を示した。最終年度である2020年3月期の連結売上高を2900億円以上(17年3月期は2341億円)に引き上げる目標だ。中核事業である酒類事業で国内の市場が伸び悩む中、成長が見込める分野に注力する。
海外で日本食材などの卸事業を拡大する。柿本敏男社長は同日開いた会見で「米国では内陸部にも進出したい。未進出地域に営業エリアを広げる」と述べた。海外の日本料理店の増加を背景に、酒類や食品、調味料などの海外売上高を20年3月期に750億円以上に高める。17年3月期は372億円だった。
子会社のタカラバイオは3年間で約150億円を投じ、iPS細胞の品質管理など再生医療分野の研究開発を加速する。18年度には日本初の遺伝子医療薬となる見込みの腫瘍溶解性ウイルス「HF10」の承認取得を目指す。20年3月期の売上高を17年3月期比3割増の385億円に引き上げる計画だ。
宝HDが同日発表した17年3月期の連結決算は、純利益が前の期比20%増の84億円、売上高は4%増の2341億円だった。海外の日本食レストラン向け食材卸や国内のソフトアルコール飲料が伸びた。タカラバイオではHF10の大塚製薬へのライセンス供給による収入が寄与した。
18年3月期の連結純利益は前期比横ばいの85億円、売上高は14%増の2680億円を見込む。前期にグループ化した海外の食材卸が通期で寄与するが、米社子会社化で持ち分法投資利益が減少する。