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ランドセルの代わり「ランリック」って?(とことんサーチ)

軽・安・目立つ色 京都の子の定番 地元商店が製販、声反映し改良

(更新)

京都の街中でリュックのようなかばんを背負った小学生が元気に登校していた。遠足の日なのか。それにしては同じ姿を毎日見かけるな。そう疑問に思っていたところ、京都府南部の小学校ではリュックに似た通学かばんが主流との噂を耳にした。なぜランドセルの代わりに普及したのか。メーカーや小学校に聞いた。

一般的な「ランリック」

阪急西向日駅から7分ほど歩いた場所に「学生服の店 マルヤス」という看板を掲げた商店がある。約200の小学校で通学かばんに採用されている「ランリック」を製造するマルヤス(向日市)の本店だ。鈴木大三社長(61)を含む家族7人で切り盛りしているというから驚きだ。

ランリックは文字通り、ランドセルとリュックを掛け合わせたナイロン製の通学かばんだ。現在販売されている商品は670~760グラムと軽い。値段は売り場に並ぶ来年向けのランドセルが数万円なのに対し、1万円前後と安い。京都府南部にとどまらず大阪府や奈良県、滋賀県の一部や、埼玉県や新潟県、福岡県でも採用する小学校があり、年間1万個が売れている。

家族経営のマルヤスが手掛け、200校が採用する(京都府向日市)

「初代」が完成したのは1968年に遡る。「ランドセルが高価で買えない児童がいる。代わりを考えてもらえないか」。鈴木社長の父の先代社長が隣町の長岡町立長岡第三小学校(現・長岡京市立長岡第三小学校)の校長から相談を受けて開発。利便性が話題を呼び、採用校が広がった。

同志社リュックを持つ、メーカーの一澤社長

長岡第三小を訪れると、集団下校する児童が今も背負っていた。同校が指定する学用品は通学帽のみ。「ランリックの推薦は一切していない」(尾瀬さち子教頭)が、保護者は暗黙の了解で子供に持たせており、全校児童389人のほぼ全員が愛用しているようだ。

新しい高級ランドセルが続々と登場する中、なぜここまで長く親しまれているのか。背景にはメーカーの改良努力がある。

ゆとり教育からの転換で教科書が大きくなった際は、かばんのサイズも大きくした。教科書の角が折れないよう底板をかばんの側面まで広げたり、児童が肩を痛めないように肩ベルトにクッションを入れたりもしてきた。鈴木社長は「小売店でもある当社には消費者の声がじかに伝わる。子供や保護者の要望を聞きながら改良してきた」と話す。

一方「当初からコンセプトは低価格。シンプルさは失わないようにしている」(鈴木社長)。定番カラーは今も黄色。形状も大きく変わらず、親世代に懐かしく感じられるようだ。こうした魅力から「親子2代でランリックを使っている家庭もある」(尾瀬教頭)。

ランリックでないリュック型かばんを使っている小学校もあるらしい。そんな噂を聞き、京都市左京区の私立同志社小学校に向かった。

同校は開校した2006年から「同志社リュック」を通学用に指定している。同志社のシンボルカラーの紫色で、760グラムからと軽い。価格は2万円前後だ。帆布製で詰めた荷物の分だけ広がるため、かさばらない。電車内で一定の幅をとらない点も評価された。

製造しているのは一澤信三郎帆布(京都市)。一澤信三郎社長(67)は「2人の娘に帆布製の通学かばんを持たせた」と話す。この地域では周りの子供は革製のランドセルだったが「違和感なく受け入れてもらえた」。

2児を同志社小に通わせる48歳女性はリュックに「違和感はなかった」と語る。伏見区で生まれ、小学生の頃は東京に転居する前までマルヤスのランリックを背負った。「当時はそれが当たり前と思っていた」。3児を同志社小に通わせる41歳女性も「成長に合わせて大きなサイズに買い替えられる」と好意的だ。

同志社小の石川博三副校長(56)は「京都は伝統を大切にする街だが、新しいものを受け入れる懐の深さがある」と話す。そんな気質がぎゅっと詰まったかばんが親から子へと受け継がれてきたのかもしれない。

(京都支社 浦崎健人)

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