未来へつなぐ白亜の校舎 ヴォーリズの建築遺産(2) - 日本経済新聞
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未来へつなぐ白亜の校舎 ヴォーリズの建築遺産(2)

軌跡

ヴォーリズの建築が全国の関心を集めたきっかけは滋賀県豊郷町の豊郷小学校校舎だった。老朽化を理由に解体しようとした町に対抗し、2001年、卒業生らが「豊郷小学校の歴史と未来を考える会」を設けた。裁判所に解体差し止め仮処分を申請した。

大津地裁が仮処分を決めた翌日、02年末の終業式の後だった。町が突然に解体を始め、止めようとした住民にけがを負わせた。解職請求(リコール)で失職した町長は出直し町長選で再選し、新校舎は建設された。ただ旧校舎も耐震工事を経て残った。同会代表、本田清春さん(63)は「優れた近代建築は地域の価値を高める」と語る。

1937年に完成した校舎は左右110メートルに及ぶ鉄筋コンクリート造一部3階建てだ。卒業生で元丸紅専務の古川鉄治郎が社会貢献のため、私財の3分の2の60万円(現在なら数十億円)を寄付し、建てられた。住民は今も古川を尊敬し、丸紅は今春に新入社員研修を同小で始めた。

古川の熱意に打たれ、ヴォーリズは設計したのだろう。階段の手すりに駆けっこをする愉快なウサギとカメの像がある。温水暖房や弁当保温所もあり、子供への優しい心遣いを感じさせる。

テレビアニメ「けいおん!」の学校のモデルとされ、今もファンが集まる。現町長の伊藤定勉(さだむ)さん(67)は「アニメ聖地として街づくりに」と意気込む。町などは23日、全国アニメ聖地サミットを初めて催す。

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