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介護ロボ 起動前夜 関西企業、実用化探る

2017/9/13 2:00
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 関西で介護ロボットの実用化に向けた試みが活発になってきた。京都のスタートアップ企業は高齢者のコミュニケーションを支援する遠隔対話ロボを介護事業者向けに本格販売する。神戸では筋力低下の測定などに活用する動きが広がる。医療やIT(情報技術)産業が集積する関西の強みを生かせば、高齢者の自立支援や介護者の負担軽減に一役買いそうだ。

■京都のテレノイド計画、認知症高齢者と遠隔対話

高齢者と介護福祉施設の職員がテレノイドを介して遠隔で対話する
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高齢者と介護福祉施設の職員がテレノイドを介して遠隔で対話する

 テレノイド計画(京都府精華町)は介護施設の運営事業者向けに、カメラやマイクを搭載した50センチ程度のロボ「テレノイド」の本格販売を5月に始めた。関西では兵庫県尼崎市の施設で年内に初めて導入される見通しだ。

 認知症高齢者自身が心地よい相手をテレノイドに投影し、心を開いて向かい合っている最中、離れた場所にいる介護施設の職員が普段話しにくい悩み事や不安を聞き取る。不安緩和に加え、職員のコミュニケーション能力向上に生かせるという。年齢や性別を限定しないよう目や口の造形は最低限にとどめた。

 人間そっくりな「ジェミノイド」で知られる大阪大学の石黒浩教授や国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が共同開発した。本体価格は周辺機器を含め60万円(税抜き)。職員研修で1施設あたり30万円(同)かかる。テレノイド計画の宮崎詩子社長は「施設職員がロボを介して高齢者の思いを深く理解することが介護の質向上に大切」と話す。

■神戸デジタル・ラボ、センサーで筋力検知

神戸デジタル・ラボの筋力測定システムのイメージ
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神戸デジタル・ラボの筋力測定システムのイメージ

 システム開発の神戸デジタル・ラボ(神戸市)は米マイクロソフトの動作センサー「キネクト」を使い、高齢者らの筋力低下を測定する「リズムモーションリハビリツール」を来春以降、介護施設などに販売する。

 体操などの全身運動をした際の体の動きをセンサーで検知する。ふくらはぎや腕など関節の力から筋力を測定。過去の自身や同世代の平均値と簡単に比べられるようにし、筋力の状況を画面に示す。筋肉の衰えを計る機器は珍しいという。世代ごとのデータを蓄積し、開発を進める。

 写真処理機器のノーリツプレシジョン(和歌山市)は、起き上がりなどの動作に危険の予兆があると職員に知らせるロボを15年に開発した。赤外線センサーでベッド周辺をとらえ、入居者の映像をシルエット処理し、タブレット(多機能携帯端末)に映し出す。入居者が転びそうな動きをすると、介護職員のスマートフォンなど端末に通知が届く。

 3月には付属商品としてオリックス・リビング(東京・港)と共同開発した生体モニターを発売した。呼吸の変化などわずかな生体異常も察知できる。「人手が少ない夜間に入居者の状態を把握したい」というオリックス・リビングの介護職員の声から生まれた。

■堺の幸和製作所、東京に開発拠点

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 福祉用具の幸和製作所(堺市)は5月、東京・新橋に介護ロボ機器の開発拠点「ロボティクスR&Dセンター」を設けた。都内の企業や大学と連携し、モーターやバッテリーを小型化した介護ロボットなどの開発をめざす。

 当初は3人を置いて段階的に増員し、ネットワークやコミュニケーションの技術を持つ人材も採用する。同社は高齢者向け歩行補助器(シルバーカー)で国内首位。培った技術を生かす。

 大企業では大和ハウス工業が出資先のサイバーダインが開発した介護ロボを15年から販売している。体に張り付けたセンサーで体の動きを予測し、抱き起こしなどの作業負担を軽くする。4日、大阪本社でタイの企業17社の関係者に紹介した。東南アジアでは高齢化が進んでおり、関西の企業の技術に対する関心も高まりそうだ。

■自治体も開発支援強化

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 自治体も介護ロボットの開発を支援する。神戸市は10月にも開発促進へ総合支援窓口を設ける。「兵庫県立福祉のまちづくり研究所」と組み、専任のコーディネーターが病院や介護施設、開発の専門家を紹介する。大阪府は介護ロボなどの実用化へ大阪工業大学、企業と産官学組織を設けた。

 矢野経済研究所の推計によると、2016年度の介護ロボットの国内市場は前年度比3倍の34億円。国の補助金も追い風となり、20年度は約150億円と予測する。

 一方、介護現場と企業のニーズにはミスマッチも。内閣府が13年に公表した世論調査では介護者の34%がロボの利用に否定的だった。厚生労働省の調査でも「人の手によるぬくもりあるサービスを理念としており、導入は反対」と答えた介護施設が12%あった。

 「移乗介助ロボが高性能になっても装着に10分もかかればトイレに行くのに間に合わない」(介護施設運営会社)など、技術的な課題も多い。

(神戸支社 杉浦恵里)

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