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遠隔オフィス、福井に来れ 鯖江市は空き家で「お試し」

2017/8/8 7:01
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 福井県内の自治体によるサテライトオフィス誘致が本格化してきた。地方都市は少子高齢化や交通インフラの整備に伴う都市部への人口流出が避けられず、地域経済の縮小への危機感が強い。空き家の活用や施設改修を進めながら勤務地の制約が比較的少ないIT(情報技術)企業を中心に誘致し、人口の社会増や雇用の創出を期待する。

 県内でも特に積極的に取り組むのが鯖江市だ。同市は昨年11月、総務省がスタートアップ企業の地方拠点設置を促す「お試しサテライトオフィス」事業の採択団体の一つに選ばれた。今年5~8月まで、市が借り上げ水回りなどを修繕した空き家など4カ所でお試し勤務を受け入れる。

 7月初旬にはウェブプロモーションなどを手掛けるライフルマーケティングパートナーズ(東京・千代田)が「お試しオフィス」で勤務環境を確認。同社は不動産情報サイト運営のLIFULL(ライフル)の孫会社だ。

 子供を持つ女性がパートやアルバイトではなく、社員として働き続けられる職場を目指している。ライフルの数野敏男執行役員は「福井県は待機児童がゼロの上、空き家なら子供を連れてきて仕事しながら面倒を見ることも可能だ」と話す。

 市の協力を得ながら早ければ今秋にも鯖江市内で物件を契約し、ウェブサイト作成などの事業に取りかかる予定だ。希望者数名を東京から派遣するほかは、基本的に地元でウェブデザイナーなどを採用し、10人程度が働く場とする。

 鯖江市によるとこれまでに8社がお試し勤務を終え、3社が滞在中だ。8月末までに9社の利用も決まっている。オープンデータや不特定多数から小口投資を募るクラウドファンディングなど、IT活用に積極的な同市の姿勢が呼び水になっているようだ。

 7月に開いた市内の視察ツアーには県外から18社26人が参加した。人材派遣のグローバルワークス(茨城県つくば市)の片岡晃司社長は「北陸で拠点を探していたが、(鯖江市)は思っていたより生活しやすそうだ。コールセンターの設置を検討したい」と好感を示した。視察に訪れた総務省の担当者によると「1回のツアーで18社は多い方だ」という。

 大野市は12月末、職業訓練センターの一部を改修し、インキュベートルームを立ち上げる。28~58平方メートルのオフィスを5つ設置し、通信環境などを整備する。具体的な貸出金額は未定だが、企業の負担が少なくて済むように設定する。

 働き手も育成する。市民を対象にウェブデザインのセミナーを開き、約3カ月で基本的なソフトの使い方や簡単なプログラミング知識を教える。受講料は4万~5万円程度を予定する。

 もっとも、企業を誘致するには地域に溶け込むための配慮も欠かせない。サテライトオフィスの集積地として有名な徳島県神山町では、NPO法人グリーンバレーが「日本の田舎をステキに変える!」というビジョンで外国人や芸術家などとの交流を企画する。竹内和啓事務局長は「その中から新たなコミュニティーが生まれ、結果としてオフィスの進出がついてきた」という。

 徳島県の担当者も「企業は地域との交流を求めている。横のつながりが生まれ、好循環に入っていく」と話す。

 行政の取り組みの継続性や一貫性も重要だ。「定期的に人事異動がある行政では、継続支援に限界がある。熱意がある担当者がやり続けることが大事だ」と竹内事務局長は指摘する。

(福井支局 吉田啓悟)

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