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もっと関西 西宮北口、住みたい街「新定番」に(とことんサーチ)
震災後 再開発で「変身」 商業施設増え便利に 子育て環境も充実

2017/5/13 6:00
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リクルート住まいカンパニーが3月に発表した2017年の「SUUMO住みたい街(駅)ランキング 関西版」で、住みたい街1位が5年連続で西宮北口(阪急神戸線)となった。住みたい街の「定番」だった芦屋や北摂をいつの間にか抜き去り、なぜ今、"ニシキタ"が人気なのか。

4月中旬の週末、ニシキタ人気の理由に迫ろうと街を散策したところ、みなぎる活気を肌で感じた。駅南側の住宅展示場付近では今、企業の社宅と分譲マンションが建設工事中だった。2棟に挟まれた駐車場の敷地でも近くマンションが着工するという。さらなる人口増加を予感させた。

とりわけ人気が高い駅北東の高木地区では、真新しい白色の校舎が目を引く。ファミリー層の大量流入で高木小学校(高木西町)だけでは教室数が足りなくなり、西宮市は16年4月、高木北小学校(薬師町)を開校した。

小学校を新設するほどのニシキタ人気をけん引するのは転勤族だ。昨秋、東京から西宮北口に転居し、長女(5年)と長男(3年)が高木北小に通う男性会社員(38)は「転入生が珍しくないので、子供が学校になじみやすい」。全校児童が600人規模の同小ではこの春、16人が転出した一方、25人が転入した。

子育て世帯の急増で、駅北西側は"塾銀座"となっている。難関中学受験向けの大手各社、学校の補習をうたった塾、乳幼児期の能力開発教室などが軒を連ねる。男性会社員は「子供の年齢や学力に合った塾の選択肢が豊富。教育環境も抜群にいい」。ビジネス街の梅田と三宮までともに特急で約15分。通勤の便利さに子育て環境のよさも加わり、関西屈指の住環境とうたわれるようになった。

子育て世代から支持を集めるニシキタだが、駅から南へ徒歩3分の場所にはかつてプロ野球阪急ブレーブス(現・オリックス・バファローズ)の本拠地で競輪場としても使われた西宮球場があった。野球や競輪のファンが行き来し、「昔は外の人が特別な魅力を感じる街ではなかった」と地元不動産業者のベスト(ピタットハウス西宮北口店)に勤める小田和世さん(45)。1995年の阪神大震災以前からの西宮市民で「西宮北口が関西の住みたい街トップになるとは想像もできなかった」と振り返る。

転機は阪神大震災。北口町の商店街と高木地区の被害が大きく、震災後に一帯の再開発が加速した。北口町の商店街は下層階が商業店舗、上層階が住宅からなる19階建て2棟の住商複合施設「アクタ西宮」として生まれ変わり、01年にオープンした。

高木地区でも被災した跡地の再開発で宅地やマンションが次々に整備され、震災前は地元の人だけが暮らす普通の住宅地の様子は一変した。駅南側にも31階建ての「ラピタス31西宮」など高層マンションが誕生。西宮球場は02年に閉鎖され、解体後の跡地は08年、西日本最大級のショッピングセンター「阪急西宮ガーデンズ」に生まれ変わった。

今では百貨店の西宮阪急やスーパーのイズミヤを核に、約260店舗を誇る「ガーデンズ」と、生協やアカチャンホンポ、ドラッグストアなどが入る「アクタ」で生活必需品は全て手に入る。買い物の利便性も人気に拍車をかけた。西宮北口エリアの人口は震災前の94年の約1万6000人から16年には約2万1500人と4割近く増えた。

この間に関西の住みたい街トップの常連だった芦屋との地位は逆転。SUUMOの調査でも10年の第1回では住みたい街1位は芦屋で、西宮北口は7位だった。それが、17年の調査では芦屋川(阪急神戸線)が12位、芦屋(JR線)が29位。小田さんは「最近は西宮北口と芦屋で迷うお客様も減ってきた。芦屋ブランドは今も健在だが、西宮北口ほどスーパーの種類や数が多くなく、家賃や物価も高い。イメージよりも利便性を取る人が増えた」と分析する。

駅前のアクタからニシキタの街を一望すると、震災の爪痕は感じられない。今のニシキタ人気は、力強く復興を遂げたこの街の人々のたくましさがもたらしたものなのかもしれない。

(大阪地方部 田村城)

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