/

東京五輪・パラ 応援幅広く アスリートを支える(4)

軌跡

柔道に卓球、カヌー、空手と、三起商行が支援する選手の競技は幅広い。選手を広告塔にしたい企業と違って、アスリート支援を商売とは別ものと位置付ける同社の守備範囲が広くなるのは自然なことだった。

選手の審査項目の一つに「五輪出場の可能性」があるが、例外的に支援を決めたケースがあった。

羽根田選手(右端)らの活躍でミキハウスの存在感は高まる一方だ

約20年前、社長の木村皓一の元に車いすバスケットボールチームへの支援要請の話が舞い込んできた。依頼主は歌手の桑名正博(故人)。競技の魅力にとりつかれてチームを設立し、精力的に活動していた。

車いす同士の接触が絶えず、すぐに破損する。買い替えるにしても「一人では限界がある」という。20台の購入を頼まれた木村は「ええよ」。快諾した後で値段を聞いて腰を抜かした。1台約30万円。「でも、男に二言はないから」

新品の車いすに「ミキハウスの名前を入れましょう」と提案する桑名に木村は言った。「それ、僕の趣旨とちゃうねん」。選手に「広告塔に使われている」と誤解されたくなかった。寄贈の事実も「他言無用やで」とくぎを刺した。

木村がミキハウス所属選手の結婚式に出席した時のこと。車いすに乗った見知らぬ青年が近づいてきた。「桑名から聞いています。大変お世話になりました」。チームのマネジャーだった。「言ったらあかん言うてたんやけどな」

所属する羽根田卓也がリオデジャネイロ五輪のカヌーでアジア人初の銅メダルを獲得。純粋に選手を応援する同社の存在感は東京五輪・パラリンピックに向けて増す一方だ。「山ほどの使命感はあるけど、小さい会社やからなあ」と木村。金庫の中身を気にしつつも、いざとなれば喜んで一肌脱ぐつもりだ。(敬称略)

=この項おわり

次回は「鴨川 橋ものがたり」

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン