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自由な空間、斬新な音生む バンド自らライブハウス開設

関西を拠点に活動するバンドが相次いで専用ライブハウスを開設している。自前のスペースを設けることで、楽曲制作や録音など、じっくり活動に取り組める利点があり、多彩な文化交流や情報発信の拠点にもなる。音楽シーンの活性化につながりそうだ。

空間現代が開設したライブハウス「外」には音楽ファンだけでなく、美術や演劇関係者らも注目する(京都市)

2006年に結成した3人組、空間現代は9月中旬、京都市左京区にライブハウス「外」を開業した。戸建てを改装した3階建てで2階と3階はメンバーの1人の住居、1階が約40平方メートルのライブスペース。開業ライブには音楽ファンだけでなく、美術・演劇関係者らが詰めかけ、注目度の高さを感じさせた。

メンバーはギター・ボーカルの野口順哉、ベースの古谷野慶輔、ドラムの山田英晶。ロックの定型にはまらず、独特のリズムとさく裂する音の塊が印象的だ。音を出す順番やタイミングを「ゲームのルールのようにシステム化」(野口)して楽曲を構築していく。

もともと東京が拠点だったが13年、京都で活動する劇団「地点」の作品「ファッツァー」で音楽を担当したのが転機になった。専用劇場を持つ地点に影響され、京都へ移った。

「外」では自分たちだけでなく、国内外の様々なアーティストを招いて公演を開く。「東京ではしっかり発信できる場所をつくりにくいが、京都はいい意味でコンパクト。自転車でふらっと訪ねる感覚で利用してもらえれば」と3人は話す。

音楽業界でミュージシャンが自前のスタジオを構える例はあるが、ライブハウスを設け、運営するのは珍しい。東京では若い世代に人気のバンド、SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)がデビュー前、廃工場を改装して手づくりのライブハウス「クラブアース」を開いた例がある。ただ開設費や運営費の負担は重く、ハードルは高い。

ダダリズムが運営する「ンチチビル」(大阪市)

08年、岡本右左無(うさむ)と山田厭世観(えんせいかん)が結成したドラムデュオのダダリズム。11年に大阪市浪速区に「ンチチビル」を設けた。10年以上使われていなかったビルを改装し、2階と3階をライブスペースにしている。

すぐそばを南海本線が走る雑然とした空間には、古いポスターが壁いっぱいに貼られ、派手な電飾、抽象的なオブジェがひしめく。

2人は微妙に異なるリズムをたたき出し、一定のフレーズを反復しながら重なったり、ズレたりしていく。演奏中も緊張を破るように電車が通る。山田は「最初は電車が気になったが、今では音楽の一部」と笑う。次回のライブは12日。

関西アンダーグラウンドと呼ばれる音楽シーンをけん引してきたミュージシャン、山本精一は1987年から大阪市浪速区でライブハウス「難波ベアーズ」を運営する。山本は「関西は実験音楽が盛ん。一般的にはファン層を広げにくいジャンルだが、自前の箱(会場)があればファンの存在を確認できる。観客もそこに行けば『何か変なことをやっている』という安心感を得られる」と指摘する。

60年代後半、米ロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのメンバーは現代美術家アンディ・ウォーホルのスタジオ「ファクトリー」に集い、セッションを重ねた。束縛の無い自由な空間は多彩なアーティストや観客を引き寄せ、新たなカルチャーを生む可能性を秘めている。

(大阪・文化担当 安芸悟)

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