2019年8月23日(金)

中世超えたエンタメに 劇団ショウダウン
「ハーメルン」に新解釈

2015/8/2 6:00
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関西を中心に活動している劇団ショウダウンが8月1、2日、欧州に伝わる中世の伝承を題材にした新作舞台「パイドパイパー」を大阪市で上演する。伝承を忠実に再現する一方で、劇団主宰者のナツメクニオが大胆な解釈を加えて、エンターテインメント性を高めたのが特徴。9月には東京で3日間計6公演を予定しており、同作品を弾みにして本格的な東京進出を果たす。

「パイドパイパー」の公演を前にして稽古に熱がこもる劇団ショウダウンの林(右)ら(京都市東山区)

「パイドパイパー」の公演を前にして稽古に熱がこもる劇団ショウダウンの林(右)ら(京都市東山区)

「もっと恍惚(こうこつ)とした笑顔で」「ゆっくりと舞うように戦って」「声を張って勢いを殺さないように」。公演を目前に控えた20日夕、京都市内の稽古場にパイドパイパーの脚本・演出を手掛けたナツメの声が響く。

今回の演目はドイツ北部の都市ハーメルンに現れた1人の笛吹き芸人が、子供たちを集めてどこかに消えたとされる民間伝承「ハーメルンの笛吹き男」が題材。グリム兄弟が童話にまとめたことなどで知られるが、ナツメが大胆な解釈を加えた。

子供が消えた1284年を中心にして、時空を超えて3つの時代が交錯する。騎士、剣、十字架、マントなど中世の雰囲気に満ちた演出の中で、ガンアクション、立ち回り、コメディーも盛り込んだ欲張りな展開だ。このところ出演者が少人数の作品が続いたが、今回は客演も含めて過去最多の21人が出演するにぎやかな舞台になる。

ナツメは「事実と事実の間の空白を想像して、エンターテインメント性を高める」と力を込める。伝承は事実と空白部分から成り、空白は謎を呼ぶ。謎があるからこそ語り継がれる。歴史は事実だが、歴史を語るには仮定と推測が欠かせない。スケールは大きく、ディテールは詳細に。事実を追求し、史実と史実をイメージで架橋して歴史エンターテインメントに仕上げるのがナツメ流だ。

ショウダウンはロンドンで起きた連続殺人「切り裂きジャック」や、誰もいない無人の帆船が見つかった「マリーセレスト号事件」など欧州の謎めいた事件や伝承を題材にした歴史ファンタジーで人気を集めてきた。ナツメは「歴史物を人気シリーズとして確立したい」と話す。

2001年、京都で旗揚げ。「見終わって『面白かった』と思ってもらえるような演劇」(ナツメ)を目指している。06年から本公演の舞台を大阪に移した。12年からは看板女優の林遊眠(りん・ゆうみん)の独り芝居をシリーズで上演している。

大航海時代の海賊を描いた林の独り芝居「マナナン・マクリルの羅針盤」は14年、東京でも上演。公募審査員の投票で決まる池袋演劇祭で大賞を受賞した。

9月の東京公演では「林の独り芝居が見たい」とのファンの声を受けて、「パイドパイパー」に加え、同作の番外編となるスピンオフ作品「千年のセピラ」を林の独り芝居で同時上演する。来年は既に1月と9月に東京公演が決まっており、弾みをつけたい考えだ。

劇団名の「ショウダウン」は「対決」の意味。演出家と俳優、脚本と舞台、劇団と観客……。様々な対立を通して作品を磨き上げ、高いレベルに到達しようという舞台作りだ。

大阪公演は8月1、2日、大阪市北区のHEP HALL、東京公演は9月4~6日、東京都豊島区のあうるすぽっとで行われる。

(シニア・エディター 泉延喜)

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