2019年4月23日(火)

聴き比べ個性味わう 在阪オケ、相次ぎ競演

2015/3/29付
保存
共有
印刷
その他

同日に同会場でオーケストラが演奏を競う。プロオーケストラの指揮者兼任が無い大阪ならではの斬新な試みだ。28日、ザ・シンフォニーホール(大阪市北区)で藤岡幸夫率いる関西フィルハーモニー管弦楽団と飯森範親率いる日本センチュリー交響楽団が同じ作曲家の曲を演奏する。

3月中旬、大阪・弁天町にある関西フィルの練習場を訪れた。「今日は昨日の続きから。力強さと美しさを意識してみよう」と、藤岡が楽団員に呼びかけ練習が始まる。2000年に関西フィルの正指揮者に就いて15年(現在は首席指揮者)。緊張感漂う中で、楽団員と息のぴったり合った様を見せつける。

関西フィルと日本センチュリーの共同企画は昨秋の演奏会に続いて2回目。互いを「ノリチカ」「サッチー」と呼び合う藤岡と飯森の酒席から始まった。2人は長年、家族ぐるみで付き合う友人。「それでも、大阪でなければ企画は実現しなかったはず」と藤岡は強調する。

プロのオケがひしめく東京では指揮者の兼任が当たり前。就任や退任も頻繁にある。オケ同士が競演したとしても企画の目新しさは乏しい。これに対し、大阪のプロオケ4楽団の間では、指揮者の兼任はご法度とされている。客演での指揮も許されないという不文律が今も生きており、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しようという意識がある。

「お客さんは必ず2つの演奏を比較する。楽団員が嫌がるかと思ったけれど、思った以上に前向きで、楽しんでいた。他の楽団のリハーサルを間近で目にできたのも貴重な経験。いつも以上に良い意味の緊張感もあったし、得たものは大きかったはず」。日本センチュリーの首席指揮者である飯森は、前回の演奏会を振り返る。

28日の公演「大坂春の陣2015」の曲目は「聴き手が比較しやすいように選んだ」と藤岡。関西フィルがストラビンスキーのバレエ組曲「火の鳥」とベートーベンの交響曲第6番「田園」。日本センチュリーがストラビンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」とベートーベンの交響曲第5番「運命」だ。

「劇的で闘争心をかき立てるような『運命』に対し、自然の美しさを思わせる優しげな『田園』。続けて聴けば嫌でも比べてしまいますよね」と藤岡は笑う。

ストラビンスキーの2曲は両方、バレエ関連の作品。両楽団の合計の演奏時間もほぼ同じくらいになるように配慮した。

関西フィルの演奏は情熱的で、まとまった時の爆発力には特に定評がある。一方の日本センチュリーの演奏は精緻で冷静、技術力の高さが評価されてきた。「指揮者にも楽団にも個性がある。聴き比べて、音楽の面白さと奥深さをもっと知ってもらいたい」と藤岡は力を込める。

今後、両オケの共同企画は当面予定されてない。だが飯森は「いずれまた別の形で実現すると思う」と言う。「大坂春の陣」とは別に4月22日、フェスティバルホール(同)で「大阪4大オーケストラの響演」と題して、大阪の4オケが競演するのも話題を呼ぶ。

曲目は藤岡指揮の関西フィルが黛敏郎のバレエ音楽「BUGAKU(舞楽)」、飯森指揮の日本センチュリーがサン=サーンスの交響曲第3番。これに加え、大阪交響楽団が来年4月からミュージックアドバイザーに就任する外山雄三の指揮でストラビンスキーの「火の鳥」を、大阪フィルハーモニー交響楽団が首席指揮者の井上道義指揮でベートーベンの交響曲第7番をそれぞれ披露する。

こちらも話題性は十分だ。外山は「4つのオーケストラが競演するなどということはめったに無い。それぞれの持ち味、特色がくっきりと表れる」と話す。

「大阪の人たちは新しい試みを積極的に評価し、珍しいものを見たがる。これから大阪でこうした競演が増えていくのでは」。飯森は競演を通じた関西のクラシック音楽界の活性化に期待をかける。

(大阪・文化担当 田村広済)

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報