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省略と余白、豪快な構図 琳派のタネ 花開く(2)

軌跡

京都国立博物館の特別展「琳派 京を彩る」では今日から11月8日まで約2週間、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の3大作家による「風神雷神図屏風」がそろい踏みする。

祖型となる宗達の作品と、ほぼ100年置きに模写された光琳、抱一の作品と比べると、色使いや眼の微妙な差が見えてくる。ところがあえて踏襲されなかった特徴もある。宗達が描いた雷神の太鼓だ。

よく見ると弧を描く太鼓の連なりが、屏風に収まりきらず、はみ出している。断ち切られた部分は想像で補おうと脳が促すので、作品を前にすると、かえって作品を取り巻く空間が大きく感じられる。

これに対して光琳、抱一の作はきちんと収まっている。大音響で天空の大気をかき乱す仕業の主を描いたにしては、後世の雷神はちょっと行儀良く見えてしまう。

画題をどう配置し、どこから先を断ち切るか。そこがまさに宗達の真骨頂だ。「扇子という制約の多い形状に絵を描くのを仕事としていた宗達は、いやでも配置や構図についての感覚が研ぎ澄まされたはず」と画家の畠中光享氏はみる。

二神以外あえて何も描き足さず、余白を大きく取り金箔で埋め尽くす。思い切りの良さと豪快な構図も、宗達ならではだ。

雑誌、ポスターなどに写真を使うとき、強調したい部分を残し、ほかを断ち切る技がある。トリミングという外来語だから西洋発と思いがちだが、日本では琳派が構図と配置を磨いてきた技と思ってよさそうだ。

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