上方落語再興、米朝去る 2015年回顧 舞台・美術・音楽

2015/12/27 6:00
保存
共有
印刷
その他

2015年の関西文化は戦後、絶滅寸前だった上方落語を再興した第一人者、桂米朝が死去。能楽師の片山幽雪、文楽太夫の竹本源大夫と3人の人間国宝の訃報が相次いだ。歌舞伎の大名跡復活、新たな人間国宝の認定など明るい話題も続いた。演芸・演劇・映画、美術、音楽の各分野で担当記者が1年を振り返る。

【演芸・演劇・映画】伝統芸能では、3月に上方落語の第一人者、桂米朝が他界した。戦後の上方落語の復興に尽くし、古典の復活に精力を傾けた。多くの弟子を育て、2009年には落語家として初の文化勲章を受章している。

没後、米朝一門は大阪市や京都市などで追善の落語会を開催し、一門の結束を示した。16年1月には松竹座(大阪市)で、米朝の代表作「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を芝居として上演する。

15年1月には観世流能楽師の片山幽雪、7月には文楽太夫の竹本源大夫が死去。人間国宝3人の訃報が続いた。

一方、大名跡の復活や新たな人間国宝の認定といった明るい話題もあった。約10年ぶりに復活した上方歌舞伎の大名跡、四代目中村鴈治郎の襲名披露興行は松竹座を皮切りに、12月の京都・南座まで続いた。陽性のキャラクターを生かした新しい鴈治郎像を見せた。人形浄瑠璃文楽では、人形遣いの吉田玉女が二代目玉男を襲名した。

10月には、歌舞伎役者の片岡仁左衛門、京舞の井上八千代、文楽太夫の豊竹嶋大夫の3人が人間国宝に認定された。嶋大夫はその後、来年2月の公演を最後に現役引退を表明した。

現代演劇では、創立101周年の宝塚歌劇団で、星組トップスター柚希礼音(ゆずきれおん)が退団。宙(そら)組の朝夏まなと、星組の北翔海莉(ほくしょうかいり)が新たなトップに就任した。「ルパン三世」など話題作が相次ぎ、集客数は過去最高を更新する見込みだ。

小劇場界では松本雄吉主宰の維新派が奈良県曽爾村の運動場で野外演劇「トワイライト」を上演。壮大な空間で観客を魅了した。

映画では阪神間が舞台の「ハッピーアワー」に主演した関西在住の30代女性4人が8月、スイスのロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞に輝いた。濱口竜介監督は、神戸市で開いた即興演技ワークショップに集まった演技経験のない人々を起用。地域に根ざし、芸術家を地道に支える施設の意義を証明した。

30万人を超える来場者があった「琳派 京(みやこ)を彩る」(京都市の京都国立博物館)

30万人を超える来場者があった「琳派 京(みやこ)を彩る」(京都市の京都国立博物館)

【美術】美術界では、誕生400年とされる流派「琳派」の展覧会やイベントが京都市内各地で開かれた。京都国立博物館の「琳派 京(みやこ)を彩る」では俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一による「風神雷神図屏風」3組が一堂に会した。

初開催の「下町芸術祭 新長田アートコモンズ」(神戸市長田区)、「学園前アートウィーク2015」(奈良市)は地域性を生かした独自の試みが光った。

昨年結成60年を迎えた現代美術集団「具体美術協会」は元メンバーの個展や回顧展が相次いだ。鷲見康夫、松谷武判らの展示会を通じ具体への関心が深まったが、鷲見が個展開催中の10月に死去。日本画でなまめかしい女性を描いた京都画壇の石本正も亡くなった。

【音楽】特筆すべき成果が2つあった。まずは「大阪4大オーケストラの響演」での在阪4オケの共演。4者4様の持ち味を見せつけた。東京や他の地方ではまず無理な試みだ。

2番目は京都市交響楽団と関西フィルハーモニー管弦楽団の欧州遠征。ドイツやイタリアなど本場の音楽会や演奏会に出演した。楽団のレベル向上だけでなく、関西音楽界にとっても大きな収穫になった。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]