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「日本一のヤッホー」 和歌山で(とことんサーチ)

山びこ色々 響く楽しさ

ゴールデンウイークを間近に控え、気分はすでにアウトドアモード。キャンプなどに行った先で目の前に雄大な山を見つけると、つい「ヤッホー」と叫びたくなる。そんな山びこで「日本一」と言われている場所が和歌山にあるという情報を耳にした。何が日本一のゆえんなのか、実際に体験してみた。

そもそも「日本一の山びこ」をどう検証すればいいのか。知恵を借りようと、徳島県上勝町を拠点にヤマビコ認定士試験などを実施する「上勝ヤッホー調査隊」に問い合わせる。すると同隊兵庫支部の森美知子さんが同行してくれることになった。

頼もしい助っ人を得て向かったのは安珍・清姫伝説で知られる和歌山県日高川町。日高川上流の椿山(つばやま)ダムを訪れると「日本一のヤッホーポイント」という看板が目に飛び込んできた。案内板によると湖畔近辺に4カ所ある。つり橋を渡り、公園を抜けると、1つ目を発見。「2秒後に返ってくる」などと書かれた案内板の横には立ち位置も示されている。

早速叫ぼうとすると森さんは「山びこ体験には4要素ある」と言い、場所、声の大きさ、叫ぶ速さ、周囲の環境が重要だと教えてくれた。「2秒で返ってくるということは、音速が毎秒約330メートルだから往復で660メートル先に届ける大声が必要。山びこに声が追いつかれると重なって聞こえなくなるから、2秒以内で叫んでみて」

指示通り短めに「ヤホ!」と叫ぶと澄明な響きが返ってきた。確かにちょうど2秒だ。「ヤッホーと叫ぶと個人差はあるが平均1.8秒。2秒の山びこはまさに理想形」と森さん。

続くポイント2は、ぐるりと山々に囲まれている。大声を出しても、様々に向きを変えても、ポイント1より不鮮明だ。そこで森さんが取り出したのは「山が遠いときに役立つ」というホラ貝。「ブオッ」と一吹きすると東側の山にぶつけた音が、北から西に回り込んで背後から聞こえてきた。最新のサラウンド音響のような立体感ある音で、どこからどう音が伝わったのか、しっかり聞き取れた。

ポイント3は手前の小高い丘と、奥の山をめがけて叫ぶと、反響音が多い。一方、ポイント4は山との距離が近く、かなり速く真っすぐな山びこが返る。

気分が高まって歌も試したくなった。「森のくまさん」を歌ってみる。ポイント1~3は声が間延びしたり膨らんだりで不鮮明。素早く返ってくるポイント4は、かなり気持ちのいい一人掛け合いが体験できた。

さて、気になる検証結果は。森さんに聞くと「山の斜面が集音効果のあるパラボラ型になっていると思われ、とてもはっきり聞こえる。車がよく通るのが気になるが、すり鉢状に山に囲まれた地形のおかげで、様々な山びこが楽しめるのがいい」と高評価。では日本一と言ってもいいのか。そう尋ねると「個人の主観なので判断しかねる。ただ丁寧な案内板を設けるなど、町ぐるみで整備した場所は全国的にも珍しい」と話す。

なぜ「日本一」をうたうようになったのか。日高川町企画政策課の西晃史さんは「町は『日本一楽しい』ヤッホーポイントとPRしている」と話す。1999年に世界遺産の熊野古道などで山びこを調べていた和歌山在住の石笛奏者、貴瀬誠さんが、きれいな山びこが聞こえる場所として現在のスポットを見つけたのがきっかけという。確かにダム湖の付近にはいろんなヤッホーを体験できる場所があり、初心者でも存分に楽しめる。

大自然の中、腹の底から出した自分の声がきれいな山びことなって聞こえるのは、とても気持ちがいい。「ヤッホー」以外の言葉を叫ぶのも面白い。連休には山に出かけて、大声を出してみてはいかがだろう。

(大阪・文化担当 安芸悟)

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